タクシー代が世界一高いオランダ--“急ぎ度合い”で安くなる相乗りタクシー「Abel」

 利用者にとってタクシー代はもちろん安い方がいい。先日、東京では2016年の年末から初乗り料金が見直されることが話題となった。これで「ちょっとそこまで」の距離でもタクシーを利用しやすくなるだろう。

 しかし、もっとタクシー代を安くするアイデアがある。フランスに本社を置く民間の公共交通機関 Transdevのオランダ法人 Transdev Netherlandsは、1月に首都アムステルダムで“相乗り”できる格安タクシー会社「Abel」を立ち上げた。

アムステルダムの街を走る「Abel」のタクシー(Abelのウェブサイトより引用)
アムステルダムの街を走る「Abel」のタクシー(Abelのウェブサイトより引用)

 オランダ、特にアムステルダムはタクシー料金がとにかく高い。トリップアドバイザーの2011年の調査「1000円でどこまで行ける?世界主要都市のタクシー料金」では、その距離2.695キロと最下位だった(ちなみに日本は2番目に高く、2.896キロ)。

 そんなオランダで生まれた、相乗りタクシーの仕組みと格安の料金を紹介しよう。

相乗りでも「フェア」な料金を実現する予約システム

 Abelは、アムステルダムと空港(スキポール空港)付近を中心に営業している格安タクシー会社だ。他のタクシー会社や米Uberと違って注目すべき点は、同じ方面へ向かう利用者が相乗りすることで、タクシー料金を格安に設定していること。相乗りすると、乗客全員にとってフェアな料金にするのは難しいのではと思うかもしれないが、アプリの予約システムにカラクリがある。

 ユーザーは、目的地と乗車人数を入力したあと、どのくらい急いでいるかを3段階から選択する。すると、急ぎ度合いによって到着時間と料金が変わるのだ。まったく急いでいない場合、料金は安くなり、急いでいる場合は高くなる。

 途中で同じ方面へ向かう他の利用者が予約した場合、道中で他の利用者をピックアップすることになる。とても急いでいて1人で乗りたいのであれば、「プライベート」を選択し、相乗りしないことも可能だ。

 料金は、初乗り運賃と自分が予約した目的地までの最短距離にかかる費用を合算したもの。その金額は予約時に確定し、途中で相乗りする人数が増減したり、迂回するルートを辿ったとしても変動しない。乗車中、追加料金にハラハラせずに済む。

 初乗り運賃は1人2.5ユーロ(約300円)で、1キロあたりの運賃は1~2ユーロの範囲で急いでいるかどうかで決まる。支払い方法はクレジットカードか、現地銀行が提供するデビットカードのような即時決済サービス「iDeal」で、予約時にアプリで決済する。

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