自ら旗を立て、仕事を作る人のための場所--神戸「カフーツ」

 これまで東京のコワーキングスペースを紹介してきたが、それ以外の地域にもいくつかのスペースが存在する。12月11日に神戸で開催された「コワーキング・フォーラム関西2011」の発起人を務めた伊藤富雄氏が運営する「カフーツ」もその1つだ。カフーツは、コワーキングという言葉が日本で注目を集める前から活動する、日本最古のスペースだという。

オンラインだけでなく、リアルで人がつながる場所を作る

 カフーツは兵庫県神戸市にあるスペースだ。伊藤氏は、もともとメーカーの出身。その後独立し、オンラインECサイトや企業のウェブサイトなどを制作している。3年半前からは、企業やフリーランスを問わず、さまざまな業種の人たちを集めてウェブサイトやプログラミングの勉強会をおこなう「ネットマーケティング研究会」を開いている。


伊藤富雄氏

 「プロ、アマ問わず様々な人達が自由にディスカッションしていく中で、互いの知恵を“おすそ分け”できるような場がほしかった」——伊藤氏は研究会を始めたきっかけについてこう語る。

 研究会では、イベントを除けばソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でコミュニケーションをしていたものの、それだけではなかなか活発な意見交換ができなかったという。そんな中でコワーキングという働き方を海外から知ったという伊藤氏。定期的におこなう勉強会だけでなく、常に開かれた場所で、作業やコミュニケーションする——そんな場所として、カフーツを立ち上げることになった。

 神戸駅から徒歩数分と立地のよい場所にあるカフーツ。席数は14席ほどで、セミナーもできる多目的ルームなどの設備も用意している。営業時間は11時から18時半までとなっている。

 カフーツの設立は2010年5月。日本ではまだコワーキングという言葉も認知されていない頃だ。伊藤氏は当初を振り返り、「最初はまったく人が来なかった。当たり前だけど、どういう人がいてどういうことをやっているのかが外から見えなかった」と語る。

 認知度を高めるのに効果的だったのは、「JELLY」と呼ぶコワーキング体験イベントを定期的に開催したことだそうだ。「毎回テーマを決めて、そのテーマに沿ってその場にいる人たちとコミュニケーションしていく。それぞれ作業しながら時々話したりして空間を楽しくこと、これがコワーキングだと感じた。そういうイベントから、人が人を連れてきてくれるようになった。コワーキングはやはり場所でなく人。人と人が繋がることで生まれるものがある」(伊藤)

コワーキング・フォーラム開催に至るまで

 先日開催されたコワーキング・フォーラムは、伊藤氏が京阪神のコワーキングスペース関係者などに声をかけて実現したイベントだ。

 伊藤氏は「コワーキングについての認知は進んだが、どこかベンチャーやスタートアップだけのものと捉えがちな面もあるのではないかと懸念していた。スペースでは、フリーランスをはじめとして、様々な考えや意識をもって活動している人がおり、そうした人たちが関わっていくことも重要。そうしたコワーキングに関係する人たちの現状について共有し、伝えていければと思った」と意図を語る。

 イベントには、神戸、大阪、京都と、複数のスペースを利用している人たちがおり、彼らもフォーラム開催に尽力したという。「開催までの動きも、まさにコワーキング的。色々な人が自主的に動いて作り上げたものになった。こうした動きを神戸からできたことは嬉しい。今後は東京も含めた全国で開催していけるといい」(伊藤氏)。結果的にフォーラムには全国から100人以上が集まった。

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