MySpaceが海外市場進出でぶつかった異文化の壁

坂和敏(編集部)2006年11月07日 19時24分

 米国最大のソーシャルネットワークサービス(SNS)、MySpaceがソフトバンクの手を借りて日本進出・・・という話が浮上している矢先、New York Timesでちょっと興味深い話を見つけた。

 MySpaceが海外市場への進出を目論んでいることは以前にブログでお伝えした通りだが、それまで米、英、豪、アイルランドといった英語圏でしかサービスを提供していなかった同社が、この9月に独・仏の市場でそれぞれテスト版の運用を開始したところ、独(語)市場では月間約250万のユニークユーザーを集め、また仏(語)市場でも約110万のユニークユーザーを集めることに成功したという。新規参入した最初の月にこれだけの数を集められたことについて、アナリスト(Jupiter ResearchのNate Elliot)は「非常に健闘しているようだ」と述べているが、それでも万事順調というわけではなさそうだ。

 「この国の人たちは、MySpaceのデザインがひどいと考えている。そして、ドイツ人にとって、この点は重要だ」というのは、この記事のなかで引用されているあるドイツ人ユーザーのコメント。そのドイツにはすでにStudivz.netなど、そしてフランスにもSkyblogsなどの競合相手があり、またFaceboxというサービスでは言語別のページを用意しているという。ちなみに、フランス市場で先行するSkyblogsは8月のユニークユーザー数が約590万と、いまのところMySpaceの約5〜6倍の規模を持つそうだ。

 ただし、こうした「海外展開」の難しさについてはMySpace側でも心得ているようで、同社共同創業者のChris DeWolfeは「国際化とは、つまりローカル化("The idea behind internationalization is localization")」とコメント。オリジナルMySpaceの成功の原動力となった音楽--音楽アーティストやバンドを核とするコミュニティづくり--に重点を置くべく、各拠点の従業員にそれぞれの市場で活動するアーティストを選ばせているという(このあたりのやり方は、AppleのiTunes Storeに近そうだ)

 また、米国では中心となるユーザー(10〜20歳代の若者)の主なコミュニケーション手段がインスタントメッセージ(IM)であるのに対し、その他の地域では専ら携帯電話+SMSが主流となっているという違いも、MySpaceにとっては力を入れて取り組むべき課題かも知れない。こと日本市場に限れば、KDDIとグリーによる「EZ GREE」のような競合サービスがあるなかで、ソフトバンクがこの部分について具体的にどんな動きを見せるかに注目が集まるだろう。

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