日本人は検索が苦手?国内市場の独自性に迫る - (page 4)

文:野田幾子、編集:山岸広太郎(CNET Japan編集部)2004年05月17日 10時00分

ブランディングの確立がキーワード広告を活かす

 また荻野氏は、広告がブランディングの確立という側面をも併せ持つことについても言及、検索キーワード広告を活かすには「商品やブランドの認知が絶対に必要」と強調する。

「例えば『保険』の情報を入手しようと検索した際、『アリコ保険』『日本生命保険』に並んで『荻野保険』というのがあったとしても、荻野保険なんて誰もクリックしない。そうすると、商品やブランドを浸透させる活動があった上で検索キーワード広告は活きてくるはずです。だから、検索サイト全体の中で検索キーワード広告をどう考えているかと言う意味では、商品自体のブランド、ある程度認知がないと難しい部分だと思います」(荻野氏)

 荻野氏によると、ビデオリサーチのサイトを訪れる人の63%が「視聴率」というキーワードで検索してくるという。ビデオリサーチのサイトへ至るためのキーワードが約2万1千語ある中で、「視聴率」はなんと80%を占める。ブランドイメージができるほどサーチワードの利用率が高くなり、且つ使われる言葉は固まってくるという関係にあるようだ。しかしキャンペーン系のサイトは商品そのものが知られていないことが多いため、キーワードよりはバナー広告が有効であると考えられる。いかに関心を持たせ、URLを告知するかがポイントとなるためだ。

 萩原氏は、自然な箇所に配置され本来の検索結果の邪魔にならないキーワード広告のあり方を、バナー広告にも求めている。

「私は、バナーがたくさん貼られているサイトに違和感を感じ、どうしても慣れることができません。インターネットは、テレビの常識である『広告がないと成り立たない』という考え方がまだ浸透していないので、そう思う人も多いのでは。もっと、ユーザー側が自然に思い、納得するかたちでの使い方が大切だと思います。そういう意味ではアドワーズのようなリスティング広告が、サイトに違和感なくなじんでいますよね。

 また、一般的にバナーへの感心が薄いのは、広告主のブランディング力がまだないから、ということも挙げられるでしょう。女性誌で言えば、前半のグラビアページで露出している広告主のように、ブランディングをやるところが出てきてほしい。また、ほかのメディアで出ているタレント広告。これらが本格的にバナーへ進出すれば、バナー広告が大きく変わると思います。

 いま、大型広告はスペースとしては可能ですが、ビジュアルのきれいな広告を手がけるクリエーターがバナーには手を掛けないので、バナーのデザイン力は乏しいものがほとんどです。また、タレント広告が使えないので、本格的なメディアミックスが展開できない。バナー広告でもテレビと同じように、松嶋菜々子やSMAPを起用できたら、絶対に変わるはずです」(萩原氏)

 キーワードにしてもバナーにしても、ただ露出するだけではその利点を活かしきれない。オフラインでの活動も含めたブランディングが、今後のインターネット広告におけるより重要なキーワードとなりそうだ。

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