検索市場の変化と各社の戦略 - (page 3)

文:野田幾子、編集:山岸広太郎(CNET Japan編集部)2004年05月10日 10時00分

国内検索サービスの過去といま

 ここまで米国での検索エンジン/ポータルサイト事情を述べてきたが、国内での状況も簡単に説明しておきたい。1995〜1998年は、日本の検索サービスにとっても黎明期であった。日立国際ビジネスの「Hole-in-One」、サイバースペースジャパンの「CSJインデックス」、NTTの「NTT DIRECTORY」、リクルートの「あちゃらNAVI」などのディレクトリ型検索サイトがサービスを開始。早稲田大学で開発されたサーチエンジン「千里眼」や、12〜24時間前の新規更新ページを検索できる「フレッシュアイ」(東芝を主体に会社設立)といった、独自の検索サービスも提供されるようになる。

 Yahoo、Excite、Lycosなどの大手ポータルサイトの日本法人も同時期に誕生、1997年3月には日本発のポータルサイトであるgooがオープンし、日本での検索サービス状況も活気に溢れていた。

 しかし1999年、千里眼がサービスを停止したのをはじめ、2000年にはHoll-in-Oneが、2001年には「OCN navi」(旧 NTT DIRECTORY)が姿を消し、2002年にはフレッシュアイが同じ東芝の関連会社ニューズウォッチに吸収された。Googleの台頭による影響とサーチエンジンサイトの淘汰が色濃く現れている。

 とはいえ、日本のポータルサイトで集客に一役買うのはサーチエンジンの性能ではなく、ポータルサイトとしてのコンテンツやサービス内容であることが多い。例えばYahoo! JAPAN。1996年にソフトバンクが米Yahooと日本法人を設立したが、当時は単純に、国内における日本語対応差情報検索サービスの提供と、ミラーサイトの運営を事業目的として掲げていた。しかし現在におけるポータルサイトとしての充実ぶりと日本独自のサービス展開により、Googleをも抑える国内のYahoo! JAPAN利用者率の高さは目を見張るものがある(この点における詳細と見解は、次回の記事で明らかにしたい)。

 また、日本ではライコスと合併したインフォシークは、親会社である楽天が異業種企業へ買収戦略を展開することで、ECサイトのみならず総合的なサービス企業を目指す楽天の布石として位置する。

 NTTレゾナントが運営するgooは、携帯電話や着メロに対応させたウェブ検索サービス開始するなど、日本人好みの検索サービスを提供している。辞書の充実やBlogサービスの追加などで、使い勝手のいいサイトを目指す考えだ。

 伊藤忠商事の子会社となっているエキサイトも、ユーザーターゲットの絞り込みよる広告単価向上とコンテンツの売り上げ収入増加により、2002年度の業績が創業以来初めて黒字になった。今年に入ってからも、オンラインゲームのポータルサイト開設やスカイ・パーフェクト・コミュニケーションズとの業務提携によるブロードバンドコンテンツ提供を予定している。

 来週からの本連載では、こうした検索サービス企業各社の戦略やリサーチ会社による分析、検索市場における今後の展望などをお届けしよう。

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