次のウェブをどう定義するか:構造化ウェブの始まり - (page 4)

文:Alex Iskold 翻訳校正:吉井美有2007年10月30日 08時00分

 4.配信メカニズムとしてのRSS。RSSは構造化言語だと考えている人が多いが、これは誤解だ。RSSは構造化言語ではなく、基本的なRSSはニュースを配信するための単純なフォーマットでしかない。個々のRSSエントリには、タイトル、リンク、説明の情報が保持される。これに加え、RSSは柔軟に画像、動画、ポッドキャストなどを組み込んで配信することができる。

 しかし、RSSがXMLのように拡張性を備えていることも事実だ。多くの企業が、APIの応答を返すのにRSSの拡張を使い始めている。例えば、以前記事で書いたように、Wine.comはこの手法を利用しており、APIを呼び出すとRSSを返す。

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 これは何を意味するのだろうか。標準的なRSSの属性に加え、Wine.comはIDやSKU(Stock Keeping Unit)、価格のような専用の情報を出力する。将来、企業がRSSをこのような形で使い続ける可能性は高い。これは、RSSが既によく知られていて必須のものとなっており、かつ、われわれはどんなXMLベースの言語を使っても構わないという事情による。技術的に言えば、RSSの拡張はすべて単なるXMLであり、RSSとは本来関係がない。しかし、世の中がこれをRSSだと思っており、これを標準にしたいというのならば、大いに使えばよいではないか。

全体像

 これらすべてを合わせると、どんな全体像が見えてくるのだろうか。それは、深みのある何か、構造化ウェブだ。これはセマンティックウェブの前兆であるかもしれない。構造化ウェブはこれまでのものよりずっとリミックスしやすくなる。これは、データベースとしてのウェブだ。古き良きリレーショナルデータベースであり、テーブルの代わりにウェブサイトやウェブサービスをリミックスする。

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 未来の構造化ウェブでもっとも特筆すべきことは、おそらく標準化されないであろうということだ。情報がRSSやXMLで表現されるというだけでは、2つの異なるサービスが1つの本を同じ形で表現することは保証されない。しかし、ある表現を別の表現に対応づけることは、情報が構造化されていれば難しくはない(金融企業は何十年間もこれをやってきた)。つまり、構造化はほとんど自動的に相互運用性を意味する。

 もう1つの成果は、情報が構造化されたウェブは、現在セマンティックウェブとして想定されているものに変化しやすいということだ。オントロジーや関係性は構造化された情報の上に簡単にオーバーレイとして加えることができる。これにはRDFやOWLが使われる可能性が高い。新しい構造化レイヤの上だということを除けば、それが元々意図されていた使われ方だからだ。こうなれば、次のウェブはセマンティックウェブの前身であると言うことができるだろう。われわれが今持たされているセマンティックウェブに対する盲目的な信仰の必要はなくなり、セマンティックウェブへの道のりがはっきりしてくる。

結論

 次のウェブは1つではなく、多くのテーマを含んでいる。しかし、将来のウェブの原動力となるのは構造化された情報だ。この記事で議論したように、多くの異なる技術が、それぞれの形で徐々にウェブを現状のHTMLの混沌から、構造化されたXML天国へと変えつつある。これは多くの場所で既に起こっていることであり、今後数年間、情報の構造化はますます続いていくだろう。

 その利点は何か。何らかのセマンティックツールが構造化された情報を活用するようになるだろうと期待できる。より賢い検索や、これまでの非構造化HTMLの世界では不可能だった素晴らしいリミックスをもたらすマッシュアップなどが登場してくるだろう。

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