GoogleOS第2弾:主役はL・トーバルズ? - (page 2)

文:Emre Sokullu、Richard MacManus 翻訳校正:吉井美有2007年01月23日 08時00分

3)名前

 まず、名前は「GoogleOS」「Googlix」あるいは「Google」というようなものにはならないだろう。われわれは、Googleは単にLinuxという名前を使うと推測している。わざわざリブランディングするよりも、Linuxの持つ中立性を利用することを好むのではないだろうか。

 これは、Firefoxにも同じことが言える。理由は以下の通り。

  • Googleの主なマーケティング戦略は広告だろう。したがって、GoogleOSは中立的な名前を持つ方が好ましい。広告主は中立的な製品の宣伝を好むものだ。このことによって、非営利のサイトも使えるようになり、巨大なギーク界へのインセンティブにもなるだろう。Googleはこれを知っている。これが、Firefoxで同社がやったことだ。
  • Linuxの認知度はすでに十分高い。これを活用するに越したことはない。多くの人がすでにLinuxとLinuxが提供するものを使ってみるかどうか迷っているが、まだ機会がないか、それだけの勇気がない。GoogleOSはそれらの人には最適だろう。
  • Googleは焦点をぼかしたくないと考えている。Googleは、ビジネス上の要請からGoogleOSを展開しなくてはならなくなった場合でも、OS企業として有名になりたいわけではない。
  • GoogleがLinuxに対してその名称を変更すると、一部の人はそれを悪く取るかもしれない。Googleがそんな煩わしさを引き受ける必要はない。

 言うまでもないことだが、Linuxの名前を使う場合、GoogleはLinuxの商標権を持っているLinus Torvaldsに多額の支払いをする必要がある。

 これはGoogleだけの問題ではない。NASDAQの巨大企業のひとつであるOracleも独自のバージョンのLinuxを作っているが、リブランディングによる自社ブランド展開は行わず、Linuxブランドを前面に出している。

4)買収?

Linus Torvalds

 GoogleはすでにLinuxのカーネルを扱えるレベルのエンジニアを多数擁している。また、http://google.com/jobsを見れば、Googleがまだ同様の人材をどん欲に集めていることが分かる。

 したがって、GoogleにUbuntu(の開発支援企業であるCanonical)を買収する必要があるとは思えない。Googleは買収する企業の選択にはうるさく、小さく、効率的な企業だけを買収することで知られている。ただ、Googleは大量の雇用を行うかも知れない。Linuxの父Linus Torvaldsその人を雇ったとしても驚かないだろう。

 それはGoogleが好むやりかたでもある。GoogleはPython(Googleのアプリケーションで主に使われているプログラミング言語)の開発者であるGuido Van Rossumも、インターネットの父であるVint Cerfも雇い入れている。

5)破壊的提案

 成功しているGoogleの製品はすべて、市場を揺るがし、ルールを変えてしまう破壊的な提案だった。

 Gmailが無限のストレージ空間を約束していることがこの好例だ。今回は、上記のようなウェブサイトオーナーの有利なキャンペーンの他に、Googleが無償サポートを提供することも考えられる。これまでのところ、Linux自体は無償で使用できるがサポートは有償だった。だが、無償サポートがGoogleにとって高くつきすぎるということはない。システムは非常に小さなものになるため、問題になる箇所の数は非常に限られている。

 第2に、GoogleはシームレスなVXMLを使った電話サポートシステムを導入するかも知れない。人間によるサービスに近い水準だがコンピュータベースのものだ。

 第3に、これによってGoogleは明らかに有利になる。Googleの土俵でWindowsを打ち負かそうとするのであれば、彼らは確かに試合を完璧に進めて、ギーク以外のユーザー(例えば、BIOSの変更を独力で行えないユーザー層)も取り込む必要がある。

 別の可能性として、Googleが消費者にCD-ROMを使って、無償でOSを送ることも考えられる。これは決して不可能ではなく、Ubuntuがすでに実現している。Ubuntuはshipitと呼ばれるプログラムで世界中に無償でCDを配布している。

結論

 この記事をノストラダムスの一節(を少し変えたもの)で締めくくろう。;-)

 皇帝がマウンテンビュー[イタリア]の近くで誕生するだろう

 1検索エンジン[1兵卒]から帝国を興し

 レドモンド[ロシア]から大軍が訪れる。

 広告[甲虫]の群れがインターネット中に現れ

 破壊者はOS[都市]を破滅させる。

 打ち破られた[疲れ果てた]者たちはオープンソースの[白い]土地で果てるだろう。

 もちろん、ここで書いたことは全部おとぎ話かもしれない。タバコの吸い過ぎだという読者もいるかもしれない。ただ、ここに書いたことが実現しなくても、この分析には、Googleのパターンと潜在力を理解する助けになる情報が含まれていると思う。

 この記事に対する意見を聞かせてほしい。ここでは5つの論点しか扱わなかったが、読者は他の予想もできるかもしれない。あるいは、論理の流れに対する反論があるかもしれない。残念ながらノストラダムスはGoogleOSの予言をするには役に立たなかったので、われわれは自分たちで予言を作るしかない;-)。

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