2つめの可能性は、Googleが独自のLinuxベースのOSを作ることだ。Linuxのフリーライセンスは、誰でも独自のバージョンのLinuxを作ることを可能にしている。Linuxはサーバ市場で最も一般的なOSで無料でもあるが、デスクトップ市場ではWindowsやMacOSに水を空けられている。最近のLinuxのユーザーインターフェースの改良によって、この状況が変わると信じている人もいる。
このシナリオは、対Windowsでウェブベースの代替製品を作るのではなく、Googleが直接的な競争相手となってWindowsを置き換えるという伝統的なモデルだ。実際、これがこれまで広く憶測されてきたことだ。無償のLinuxディストリビューションもラインアップに持つUbuntuがGoogleに買収されるのではと噂されたことがある。
もしこのシナリオが現実になれば、過去にFirefoxで行ったように、Googleは自社のOSを無償でダウンロードできるようにし、ホームページで宣伝するかもしれない。また、Linuxの複雑なUNIXファイルシステムの代わりに、ネットワークファイルシステムをデフォルトで提供するかもしれない。このファイルシステムの複雑さも、Linuxがデスクトップ市場の主流になれない理由のひとつだ。
簡易版Linuxディストリビューションも可能性のひとつだ。例えば、OSは単純にコンピュータを起動し、インターネットに接続し、Firefoxを開く。そして、後はGoogleのウェブサイトとアプリケーションに任せるという形だ。Googleは自社のすべてのサービスとアプリケーションに接続できるホームページを作ればよいため、これが最も論理的な戦略かもしれない。人々はもちろん自由に他のウェブサイトやサービスも使えるというわけだ。
これに似たコンセプトはすでにある。例えば、PuppyとDamn Smallはともにクレジットカードサイズに収まるLinuxディストリビューションだ。これには、どこにでも持ち運べるという利点がある。クレジットカードサイズのCDやUSBドライブをポケットに入れて出かけ、どこででも自分のOSを使うことができる。これが可能なのは、これらのディストリビューションがインストール不要であり、CDやUSBドライブから直接動作できるからだ。
ByzantineOSは、もう終了してしまったプロジェクトだが、まさしくこれを実現していた。ByzantineOSのただ1つの目的は、コンピュータを起動してMozillaベースのウィンドウマネージャを開くことだ。ただ、ユーザーはブラウザウィンドウから外に出ることはできない。
しかし、Googleはより過激なソリューション、BIOSを独自のバージョンで置き換えることを考えているかもしれない。BIOSの意味するところは「basic input/output system(基本入出力システム)」であり、コンピュータが何をするかを判断する組み込みソフトウェアだ。例えば、キーボードやスクリーン表示を制御している。Googleが最近LinuxBIOSのスポンサーとなったことは、この方向を模索するステップのひとつかもしれない。この場合、Googleはハードウェアベンダーと契約してGoogleのBIOSに基づくOSをプレインストールすることもありうる。
われわれは、6カ月後にはすべてが今よりも明瞭になると信じている。MicrosoftはVistaでGoogleに圧力をかけている。Vistaはこれまでにリリースされた他のWindowsと同様、比較的よく取り入れられている(もっとも、Microsoftがこれまで享受していたほどよい状況ではないだろう)。Vistaの受け入れが進めば、デフォルトの検索エンジンであるLive Searchの採用も進む。Microsoftから見れば、これはすべてのLiveサービスとMSNサイトにポジティブな影響を与える。エンドユーザーが望んでいるのは、簡単に使えて満足度の高い体験だ。これは多くの場合Vistaから始まるだろう。
このシナリオが進めば、Googleの利用率にはネガティブに影響する。したがって、現時点でわれわれは、Googleが思い切った戦略を開始すると予想する。Firefoxと何らかの形のGoogleOSを展開するだろう。YahooはすでにMicrosoftの脅威に対してより友好的な形で対応し、自社でカスタマイズしたIE7をユーザー向けに提供している。しかし、Googleはより挑戦的で競争的な反応をし、独自のOSを提供するだろうと考える。GoogleOSは6カ月以内に現実のものになるかもしれない。
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