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第6回 起業家は資本主義に不可欠

2003/05/08 10:00
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資本主義と株式会社の関係

 大上段に振りかぶったタイトルをつけましたが、私は、起業家を目指す多くの人が意外とこのあたりの基本的な概念を漠然としか知らないのではないかと思っています。特に理科系の人の多くはたぶん初めてきく話かと思います。そういえば文科系の私さえ、大学までの教育の課程でこんな基本的なことでありながらきちんと習った記憶がありません。しかし、自分のやろうとすることが、世の中全体からマクロ的にみてどういう意味があるのかを確認するのはムダではありません。

 申すまでもありませんが、われわれの生きている国は資本主義経済体制下にあります。資本主義の本質とは何でしょうか?それは、株式会社という組織が多数存在し、競争をくりかえしながら財やサービスを提供して、多くの人々の需要を効率よく満たしていく社会です。

株式会社の本質とは?

 では株式会社の本質は何でしょうか?それは、企業の所有権を株式という単位に細かく分割し、その株式と引き換えに多くの人から少しずつお金を集めて「資本金」というまとまった事業資金を用意して、それを使って個人事業ではできないような大掛かりな事業をしかけ、その事業を通じて企業の所有者たる株主に利益をもたらすことを目的とする組織体のことです。

 株主にとっての利益というのは、具体的には配当(インカムゲイン)か、あるいは株式転売によるキャピタルゲインです。会社にとっての利益は売上げからコストを差し引き、税金などを払い終わった部分です。その最終利益の一部(または全部)が配当になります。したがって、換言すれば、会社の目的は利益の追求です。これによって、雇用もうまれ、みんなが食っていくことができる社会としてうまくまわっているのです。

 ただし、利益の追求も度を越してしまうと、弊害がでるのも周知の事実。株価を上げるためなら倫理もかなぐり捨て、会計も粉飾してしまう、これは論外です。

株式会社は起業家と資本家によってできる

 では株式会社はいかにしてできるのでしょう?それは、事業機会を見出した起業家とそれに投資する投資家(資本を出す人)の出会いによってできるのです。明治の官営事業の払い下げなどの例外を除くと、全ての会社は当初、このような起業家と投資家の出会いによって生まれたベンチャービジネスだったのです(もっとも、最近は大手企業の子会社という形でできる例も多いですが。。。この場合の社長は「雇われ社長」と呼ばれ、起業家とはいいません。なぜなら、自分の人生を賭けるリスクをとっていないからです)。

 時代は常に変化します。その変化に適さなくなった企業は淘汰されて消えます。一方で、変化の中から新しい需要が生まれ、それをとらえて新しい起業機会が生まれます。過去百年の歴史を振り返っても、起業機会のなかった時代というのはありません。いつの時代にも必ず、起業機会は存在しています。そこに新しい会社が、新しい起業家と投資家によって誕生します。つまり、企業社会も人間と同様、毎年必ず一定量の生誕と死があり、そのことで新陳代謝しているのです。ですから、起業家の存在は不可欠なのです。

起業家は社会から渇望されている!

 起業家が世の中からいなくなると、必ずその経済は没落・衰退します。起業家の連続的な輩出は世の中から要請されているのです。とくに閉塞感の強い今の日本はなおさらです。ところが、現実をみますと、残念なことに現在の日本はここ数年連続して起業率が廃業率を下回っています。米国とは逆の現象です。いわば法人の少子化現象です。子供のいない社会に活気がないのと同様、新規開業の少ない産業社会にはみなぎるような活力が乏しいのです。

 小泉政権のお題目は構造改革ですが、どうも遅遅として進まないようです。やや荒っぽい議論であることを承知でのべるなら、起業と廃業、株式市場への新規上場と退出がくりかえされれば、将来伸びる企業に資金が流れ、結果として、おのずと産業の構造改革がすすむのです。その意味からも、有望な起業家が連続的に輩出する世の中にしなければなりません。

 ですから、われこそは、と思われるあなたもぜひ起業の道を志していただきたいのです。それはあなた自身の最高の自己実現でもあり、同時に今後の日本経済のためでもあります。

「起業家というキャリア」は毎週木曜日の更新予定です。


筆者プロフィール
西川 潔
ネットエイジ 代表取締役社長
KDD、米国コンサルティング会社、AOLジャパン などを経て、98年2月、ネットエイジを草の根的に創業。 インターネットビジネスの企画・開発・運用を通じ、ビジネス インキュベーションおよび、投資業務を手がける。現在までに12のビジネスをおこし、M&Aで4社を売却。また、99年に 日本中を席巻したビットバレー構想の発案者でもあり、常に起業家主導経済の重要性を説く。東京大学教養学部卒

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