目指せ起業家!ネットベンチャーの雄が仕掛けるコンテストに迫る

インタビュー:西田隆一(編集部)
構成:木原美芽
2005年07月05日 17時00分

 モバイルコンテンツ事業などを行うアエリアが、ベンチャー企業のインキュベーションを行うネットエイジグループと共同で、第1回「インターネットビジネスプランコンテスト」を実施する。

 このコンテストは、優れたビジネスプランを持っているが資金がないという起業家予備軍および起業家を全面的にバックアップするもの。ただし、募集するプランはビジネスの一部にインターネットを利用したものと限定されている。

 募集コースは2種類で、Aコースは今年末までに創業を希望する起業家予備軍を対象にし、優秀者には創業資金として最大3000万円を提供する。一方、Bコースはすでに起業しているが、さらなる成長資金を求めているという人を対象とし、主催者関連企業が最大5000万円の増資を引き受ける。

 今回のコンテスト実施にあたって、その背景と目的をネットエイジグループ代表取締役社長の西川潔氏に聞いた。

--「インターネットビジネスプランコンテスト」実施の背景をお教え下さい。

 米国では、MITの50K Entrepreneurship Competition(全米最大と言われるビジネスプランコンテスト。優勝チームに30万ドル、次点2チームに各10万ドルの賞金が支払われる)などの、起業家予備軍のためのビジネスプランコンテストがいくつも開催されています。しかし、日本では、起業家を育てる取り組みがまだまだ少ないのが現状。私たちも以前からいつかはこういった試みをやるべきだと考えていましたが、今回はアエリアさんから「共同で実施しませんか」というお誘いを受けたこともあり、実施に踏み切りました。

--今回のコンテストの目的は?

 やるからには、良い応募者の中から良いアイデアが出て、それに投資を行い、事業として成長させるのが本当の成功だと思います。それを実現させるためにも、投資の敷居を下げるつもりはありませんので、我々の眼鏡にかなう高いレベルのビジネスプラン提案を求めています。

--これはネットエイジとして初めての試みなのですか。

 コンテスト形式では初めてです。ただしEIR(アントレプレナー・イン・レジデンス)制度、いわゆる住み込み起業家制度は従来から実施しています。これはビジネスプランを持つ優秀な人材を一種の契約社員的に当社に迎え入れ、起業準備をしていただくというもの。クライナー・パーキンスなど、米国の著名なベンチャーキャピタルで行われている制度です。

 ベンチャーキャピタリストの中には、ビジネスアイデアの判断の目が肥え、実際に自らが起業したいと考える人も数多く存在します。米国ではそういった場合、この制度を利用して自分自身が創業者となるケースがままあります。

--ネットエイジのERI制度で巣立ったビジネスをお教え下さい。

 小野壮彦氏による「プロトレード」が、第1号です。彼のビジネスプランをネットエイジ内でブラッシュアップしてもらい、投資をしました。創業後2年ほど経ったところで楽天から申し入れがあり、売却しました。現在は「楽天ビジネス」というサービスになっています。

--今回のコンテストでは、EIR制度とは違い、表舞台に立った形でプランの選別がなされ、出資をされることになります。より広い層からの応募が予想されますが、選考基準をお教え下さい。

 私はシンプルに、一種のレーダーチャート方式でバランスの取れた人材を選びたいと考えています。簡単に言うと、頂点が「人そのもの」、一方が「ビジネスモデル」、もう一方が「市場」という三角形です。「人そのもの」は、まさに起業家としての力量、なんとも言えないオーラのようなものがあるかどうか、「ビジネスモデル」は、何をやろうとしているのか、「市場」は、市場が今どういう状況なのかを、それぞれ見ます。

 例えばすでに1千何百億円という規模のあるインターネット広告のような十分認知された大きな市場に、これまでにないアプローチをするビジネスモデルであれば、リスクは少ないと言えます。この場合はビジネスモデルの面白さを判断します。市場は小さくとも、それを開拓できる魅力的なビジネスモデルであれば、それもいいでしょう。逆に市場は大きくても新味のないビジネスモデルでは、評価は下がります。

 しかし評価ベースになるのは、人材そのものです。不測の事態に陥っても何とか乗り越えられるガッツや、柔軟性、チームを引っ張れるリーダーシップなど、起業家としての創業的な力量ですね。これら3つを含めて、総合的に判断します。

--3つすべてを兼ね備えている人材、プランというのは難しいかと思いますが。

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