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未来の記憶がないPCの挑戦 - (page 2)

森祐治 2006/09/05 08:00

何が新しい価値となるか

 これまで以上に安定したとか、セキュリティに考慮した、といった現実的な面での進化も、特にビジネスユースという点では見逃せない。しかし、次世代のPCという限りは、やはりどこかにワクワク、ドキドキする要素があってほしいと、誰もが期待しているのではないだろうか。

 Microsoftの開発チームブログによると、Vistaの製品候補版(RC1)の公開が近くあるという。僕もRC1に先立って8月末に発表されたPre RC1というVistaの暫定テスト版を入手することができたので、自宅のPCに入れてみた。Beta以上に安定し、XPと比べるとさまざまな点でルック&フィールも優れ、使いやすくなった印象を受ける。しかし、OSだけを見ている限り、ブレイクスルーといったほどの印象は残念ながら受けない。

 それは当然といえば当然だ。PCというプラットフォームの要素でしかないOS単体に求めてはならないことだからだ。実際には、VistaというOS上で実現されるであろう「何か」を待たなければいけない。「コンピュータ」と呼びかけると「はい」というようなレスポンスにも近い何かを。

 すでに、PCには電子メールとウェブブラウザさえあればいい、という人も多い。せいぜい、ワープロソフトやちょっとした映像や画像などの加工ツールなどがあれば十分という人にとって、PCは非常に低レベルなツールでしかない。もちろん、これまでは実現できなかったことを提供するという価値はある。しかし、それはツールという価値の範疇であり、ワクワク・ドキドキにはちょっと届かない。

 OSという製品単独では難しい挑戦なのかもしれない。これまでは、PC自体の価値訴求ではなく、「PCくらい使えないと」といった外的な要請と使い勝手という技術的な障壁のバランスにのっとって、あるいはインターネットの電子メールなどネットワーク外部性の対象として普及してきたといったほうがいいだろう。であれば、それらとは異なる訴求価値の提供=新しい経験の提供が求められているということになるにちがいない。加えて、SaaS(Software as a Service)など、高機能なPCやOSそれ自体の存在意義への挑戦も始まっている。

 次世代OSの登場は、未来の記憶がないPCの今後、特にその基盤としての製品という位置づけを改めて問うことになるに違いない。

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