リアルにまた一歩近づくグーグル - (page 2)

プラットフォームという脅威

 そう、機能的なプラットフォームであり続けることを選択したことで、結果的により強力なプラットフォームになったGoogleだが、依然としてプラットフォームであることにおいては、それ以上でも以下でもない。少なくとも、神や悪魔ではない。もちろん、その存在は大きく、強力であり、そうそうに対抗できるものではない。ただ、不可侵・不可触ではない、ということを前提にしなければ、それへの理解もおのずと矮小化するだろうし、対抗策も現れないに違いない。

 例えば、北米においてかつて圧倒的な規模の電話サービスの提供者であったAT&TやBtoB市場におけるレガシー時代でのIBM、あるいは現在95%以上のPCのOSを牛耳るマイクロソフトなどが汎用的なプラットフォームプレーヤーであり、彼らは漏れなく「独占禁止法」という規制の枠組みの対象となってきた。

 汎用的な誰もが利用せざるを得ないプラットフォームは、たとえそれが私企業であっても、ライフラインの一種となりパブリックな存在に限りなく近づいていく。そのため、独占禁止という法の網をかけることになる。もちろん、その影響力の大きさをその時点での独占禁止法は直接的に規制できない場合が多い。いつもそれらはイノベーションの結果だったからだ。そのため、常に新たな解釈や変更によって彼らの行動を抑制してきた。

 が、独占禁止法の適用は国という範疇に限定されるものだ。取り扱うものすべてが情報財であり、その影響力が国境を越えることで初めて強力に機能し始めるというインターネットでは、これまでどおりの独占禁止のスキームは通用しない。すでにネット上に存在するすべてのテキスト=マシンリーダブルでかつ人間にも読解可能な情報(これは、映像や音声に関した情報を含むため映像や音声ファイルそのものの検索も可能になるし、ソーシャルタギングなどで付与されたメタデータによって、その質的な評価結果すら検索できるようになる。

 このため、直接的な映像や音声の検索よりも付加価値が大きいことになる)を対象とした検索サービスという領域では、プラットフォーム特有のゲームのルールが働く。すなわち、先行して他社より圧倒的なシェアを握ったプレーヤーは、そうそうに蹴り落とされることはない。破壊的なイノベーションが現れない限り、ネットワークの外部性という原理によって、圧倒的なシェアを握ったプレーヤーにとってすべては有利に働くのだ。

 そして、もうすでにGoogleはその対象になってもおかしくないほどのパワーを有している。そんなGoogleとどのように付き合っていくべきか。いろいろな議論が存在するだろう。

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