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定額制音楽サービスがあぶりだすコンテンツ配信の課題 - (page 2)

森祐治 2006/06/05 08:00

 5月29日には東京のFM局J-WAVEがFM番組のトークショー化に一石を投じるとして楽曲中心の無料ネットラジオ「Brandnew J」を開始した。ブロードバンド環境の整ったネットサービスを日常的に利用する人の拡大を前提にすれば、CMを編成に入れ込む放送型ビジネスモデルも可能になる。すなわち、著作権料を支払ってもストリーミング型「本格」ネットラジオで十分に採算が取れるという目論見もできつつあるようだ。

少しずつ進展する配信環境だが

 これらの動向を前提に、日本でのリアルネットワークスやマイクロソフトの動きがなされてきているのだ。そう、これまではテクノロジ面、あるいはブロードバンドのようなインフラ面では、これらサービスの提供は「当然」であってもおかしくはなかった。日本でここまでコンテンツ配信が遅れていたのは、やはり著作権処理の問題が大きかった(北米の音楽著作権管理団体であるASCAPなどが提示する料率や運用条件とは依然開きがあるという指摘もある)。

 とはいえ、どうも動きが鈍いという印象は免れまい。よくいわれる「ソニーはなぜiPodを作り出せなかったのか」という疑問を論じるとき、国内市場を前提とした場合「あえて(著作権管理団体との折衝や、その背後にいる業界関係者との関係を悪くする、など)面倒な事をする必要はあるのか」という極めて「合理的」な判断がブレーキをかけたという仮説を否定はできまい。

 本来、プライベートセクターでの積極的な技術革新の創出と需要を進めるべきではあるものの、これらの状況に対して政府などの介入による半ば強制的なコンテンツ流通制度環境整備を期待せざるをえない。

整合性を欠くコンテンツ政策

 そして、ブロードバンド時代の主流である映像コンテンツに関して言えば、音楽以上に遅れているとしか言いようがない。米国ではついに、全米ネットワークテレビ局や大手スタジオが積極的にブロードバンド配信に乗り出している(そもそも、米国内ですら、プロフェッショナル映像コンテンツ配信は「きわめて遅れている」とよくいわれていたほどだった)。

 インフラ環境などが貧弱な米国と比較しても、日本の制度的、あるいは本質的なデジタルに対する著作権の運用の柔軟さの状況は、悲観的、あるいは絶望的といってもよい。たとえば、文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は5月29日、インターネット上でのテレビ番組の同時再送信のみを「放送」とみなすという依然として放送だけが有する特権の開放に極めて消極的な結論を下した。

 そもそも、テレビ番組という映像コンテンツそのものの自由な流通を端緒に、(JASRACなどが著作権管理する団体が存在する楽曲と比べて煩雑な)映像コンテンツのより多様な流通を実現することが目的だったはずなのだが。イノベーションそのものを市場に委ねることなく、「既存商品の価値が低下する」など一部の意見のみを受容するという極めて不自然な判断を下している。

 かたや、政府知的財産戦略本部のコンテンツ専門調査会では、マッシュアップなどを含む多様なコンテンツの制作、配信、そして利用までを含めた極めて広範囲の自由を推進することで「日本のコンテンツ大国」を実現するとしている。この流れは、真っ向からぶつかるものではないか。

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