次世代ゲーム機が示す家電、PC、通信の融合の未来 - (page 3)

見えないCE勢の動向

 一方、PS3はどのような戦略を持っているのだろうか?

 これについては依然として不明瞭だ。たしかに、PS3と他CEがネットワークでつながる可能性は、複数あるEthernet端子やDLNAへの準拠、Wi-Fi、そしてBluetoothの採用などでおおいに担保されている。が、20世紀末に出井会長が進めた「CE間のネットワーク連携による新たな価値創出」というコンセプトがソニーの内部だけでも統一できなかった事実を考慮すると、なかなか困難である可能性は高い。まして複数の家電メーカー間での連携となると、単なる接続互換性を規定しただけのDLNAでは不十分だろう。

 とはいえ、ネットワークを介してCPUの処理自体を分散結合するというコンセプトを持ったCELLを搭載したPS3であれば、他CEやネットワーク上のサーバーとの連携は当然と考えられているに違いない。あとはその具体的な戦略を示すだけ、ということなのかもしれない。ここでまた、政治的な問題からその戦略が機能不全になってしまわないように願うだけだ。

 いずれにしても、今回発表されたハイスペックな次世代ゲーム機は単にゲームだけを指向しているわけでないことは明らかであり、性能面ではPCやCEを飲み込むことすら可能なレベルにある。であれば、どちらからも寄り切れないまま宙ぶらりんなところにある放送通信の落としどころとしてのハードウェアとしてゲーム機を位置づけることで、大きな進展が見られるかもしれない。

 Mac miniが登場した時には、内蔵のTigerカーネルをROM化すると極めてCEに近いコンピュータとなり、TVチューナーカードを取り込んでしまえばすべての日本製CEを駆逐してしまう、という妄想が一部関係者の間でまことしやかな可能性として語られたことすらあった。しかし、そんな恐怖感に駆られた議論ばかりしていても仕方がない。

 もっと現実的で、長期的な視点からの戦略を見たいと思うのは僕だけだろうか。中途半端な単機能デジタル家電による日本家電業界の復権などというたわ言にもう飽き飽きしている人は多いはずだ。Xbox 360プレビューの会場で同じような思いを抱いていた人は、マイクロソフトの戦略ゲーム機Xbox 360の非常にジャパンコンシャスなデザインを見て、本当にPC+ゲーム機によるCE駆逐ののろしがレドモンドに上がったと感じたのではないだろうか。

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