結局、今回の騒動は、技術面はともかく、心の準備ができていない放送局に対して「放送と通信の融合」というゲームに参加しているという自覚を促したという効果はあったに違いない。言ってみれば、まだスターティング・ポジションをとる前にピストルを鳴らしてしまったようなものだ。もう引き返せないし、立ち止まることはできない、ということを再認識させ、あきらめの境地に立たせたのだ。
ただ、戸惑いは払拭し切れなかった。前述したとおり、放送とネットだけが「融合」したところで、既存の両者単独での事業構造の方が優位にあり、あえて技術に先導されて融合する価値が見てこない=ビジネスモデルが不在なのだ。
堀江社長にはもしかしてとんでもない隠し玉があるのでは、という期待は関係者にこそ強かったのではないか。しかし、どうやらそれはブラフ(はったり)でしかなかったようだ。いや、打倒ヤフーを叫ぶライブドアの堀江社長は、「言っちゃったら、ヤフーにやられちゃうでしょ。それも想定内だし」ということで、心のうちに秘めているだけのことかもしれない。
個人的には、「放送と通信」の融合ではなく、「放送・通信・家電」の融合ではないかと思うことが多い。「コンテンツ・サービス・ハード」の融合であると言い換えてもいい。であれば、放送と通信(インターネット)だけの連携でビジネスモデルが見えてこなかったら、家電という新しい要素を加えて考えてみてはどうだろうか?意外とうまくいくのではないか。そして、日本という競争優位をより生かせることができるのではないかと期待するところが大きいのだが。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する