点と点を線にする携帯電話--モバイルマーケティングの最新動向 - (page 2)

竹本力哉(電通テック)、磯雅範(ディーツーコミュニケーションズ)2006年12月13日 19時00分

プロモーションで利用されるモバイルの事例

 モバイルを取り巻く環境の進化によってプロモーションへの活用のされ方にも日々変化が見られる。いくつかの切り口でプロモーションにおけるモバイルサイトの使われ方を紹介したい。

 まずは、Flashへの対応をはじめとして向上した表現力や、コミュニケーションツールとしてモバイルを活用したケースを紹介したい。ある即席麺メーカーでは、2年間という長期にわたり実施されるブランドコミュニケーションの継続のため、モバイル向けに常設のプロモーションポータルサイトを開設した。そのポータルサイトは、テレビなど既存メディアでプロモーションを実施しない時期でもユーザーとのコミュニケーションを図ることを目的としており、テレビCMの展開や屋外広告展開の予告も含めた情報を配信したり、すでに実施済みの広告展開についてもアーカイブしている。

 このキャンペーンでは、若者に人気の高いクリエーターが作るアニメーションを利用しており、フルFlashで構築したモバイルサイトはその世界観を保っている。さらに商品のパッケージにQRコードを明記してモバイルサイトへの誘引をはかる施策も大成功した。

 このメーカーに代表されるようにFlashを活用したサイトは現在もかなりの普及を見せている。Flash対応端末がスタンダードになる今後、PCと同様に「綺麗に見せるモバイルサイト」が当たり前の時代はもうそこまで来ていると考える。

 続いてはクロスメディア展開のハブとして戦略的にモバイルを活用したケースを紹介しよう。ある自動車メーカーでは、若者をターゲットにした新型自動車発売のプロモーションとしてモバイルサイトを活用した。プロモーションのキーワードとして「音楽」を全面に出したクリエイティブが展開されるということもあり、着信メロディ、着うたなど「音楽」に親和性の高いモバイルでコンテンツを配信する特設サイトを展開した。

 既存メディアでは、ターゲットが集まる街中で缶バッチを配布したり、街中の店舗とタイアップにて買い物袋に広告を掲載するなどのプロモーションを実施した。また、連動広告の中にQRコードを明記してモバイルサイトに誘導し、モバイルサイト内にてブランドの持つ世界観をさらに伝えることで、プロモーションの効果を向上させた。

 さらにプロモーションの一環として有名アーティストのコンサートへ招待するキャンペーンも実施した。そのキャンペーンでは、チケットプレゼントの応募から当選者への電子チケットの配布、会場での入退場管理まで、すべてをモバイルで実施している。ユーザーはキャンペーンに応募するところから会場に入るまでモバイル1つだけで完結してしまうのだ。

 このメーカーに代表されるように、多面的に展開されるプロモーションの点と点を結んで線にする作業をモバイルが担うことで、単発のプロモーション展開を統合的に実施することが可能になる。

 これら2つのケースからも見られるように、モバイル端末は動画やFlashなどを活用したブランディングメディアとしての利用や決済機能、テレビやラジオ、メール、GPS、音楽、ゲームなどマルチデバイスとしての利用が進んでいる。多様に可能性が広がっているモバイルの特性をしっかりつかみ、今後のプロモーションに効果的に組み込むことこそが成功の鍵だと考える。

竹本力哉
電通テックeプロモーション開発部 部長
竹本力哉

1991年入社。セールスプロモーション本部モバイルプロモーション部部長を経て、2006年4月より、プロモーション統括本部セールスキャンペーン開発事業部eプロモーション開発部部長。モバイルマーケティングソリューション協議会(MMSA)副理事

磯雅範
ディーツーコミュニケーションズソリューション部 部長
磯雅範

2001年入社。営業部にてモバイルメディアの販売を経て、2006年4月よりソリューション部部長。モバイルマーケティングソリューション協議会(MMSA)会員

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