グーグルやヤフーが勝者ではない--プレーヤーがしのぎを削るモバイル検索 - (page 2)

小野裕史(シーエー・モバイル)2006年10月18日 16時02分

モバイルSEOのニーズが集まるのは「テール」より「ヘッド」

 検索以外の領域でもよく聞く「ロングテール」という言葉だが、これをモバイル検索に当てはめると、PCに比べて「テール」が短くなる。そして多く検索されるキーワードの上位である「ヘッド」にニーズが集中している。

 また、モバイルでは、検索結果として1画面に表示されるサイト数にも制限があり、通信速度もPCに比べて遅いため、検索結果として表示されたサイトを閲覧して、また検索結果に戻って他のサイトを閲覧するという行為にもハードルがある。

 そのため、検索エンジンの上位にサイトが表示されるように工夫する「SEO(Search Engine Optimization)」をモバイルで実施する際は、「ビックワード(重要単語)においてより上位に自社のウェブサイトを表示させるか」ということが勝負になってくる。

 しかしながら、現在主流になりつつあるロボット型のモバイル検索エンジンでは、精度の低いケースも多いこと、モバイル検索エンジンのシェアがGoogleとヤフーに集中していない上、各モバイル検索エンジンで仕様が異なり、一律の対応が困難なことなどから、モバイルSEO市場の拡大には、まだ環境の整理が必要だと見られている。

検索連動型広告とLPO

 PCでの検索連動広告は、キーワード単位で販売することがほとんどだ。しかし、モバイルではPCに比べて検索の回数が少なく、検索キーワードが偏っていることから、キーワード単位での販売と、キーワードをまとめてカテゴリーとして販売しているサービスが共存している。

 そのため、検索連動型広告の効果を高めるために、広告をクリックした際に最初に訪問する「ランディングページ」を最適化するLPO(Landing Page Optimization)についても、概念としては存在しているもののまだまだ発展途上と言ってよく、実際の活用についてはモバイル検索の規模の拡大、ロングテール化とともに拡大すると考えられる。

モバイル検索の市場はまだまだ新しい

 モバイルにおいて「検索」という概念は、ユーザーにとっても非常に新しく、まだ市場も新しいものだ。各キャリアが検索を意識し始めた2006年を「モバイル検索元年」と言っても過言ではないだろう。

 各キャリアの検索サービス導入により、モバイルユーザーの「検索」に対するリテラシーは今後確実に向上していき、定額制の普及とブロードバンド化とともに、モバイル検索の利用とその市場の拡大は約束されていると言える。

 一方、市場として急激に拡大していく中、PCで過去経験してきたように、技術の進歩とユーザーリテラシーが向上するにつれて、モバイル検索エンジンやモバイルSEMのプレーヤーは淘汰されていくだろう。2〜3年後、モバイルのさまざまな「制約」をいかに味方につけるかにより、モバイル独自の「検索業界地図」が出来上がっていくと考えられる。

小野裕史氏
シーエー・モバイル専務取締役
小野裕史

2000年4月に日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングへ入社。その後2000年9月にシーエー・モバイルへ入社、執行役員、取締役を経て、2003年12月に専務取締役に就任。シーエー・モバイルではモバイル向け検索エンジン「SeafTyy」に携わるほか、モバイルのメディア事業やコマース事業、グローバル事業を手がける。モバイルマーケティングソリューション協議会(MMSA)会員。

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