アイネスが波乱相場のなか急上昇--定額給付金の特需も

 情報処理大手のアイネスの株価が、2月23日の安値386円から反転上昇基調を強めている。同社の業績動向と今後の株価について探った。

 同社が1月28日に発表した2009年3月期の第3四半期(2008年4〜12月)の連結決算は、売上高こそ258億円(前年同期比2.5%減)となったものの、営業利益6億円(前年同期は4億9000万円の赤字)、経常利益6億9700万円(同4億3600万円の赤字)、最終損益5億8800万円の黒字(同53億円の赤字)と黒字転換を達成している。

 また、2009年3月期通期の連結業績については、売上高385億円(前期比5.9%減)、営業利益17億円(同11.9%増)、経常利益17億3000万円(同8.3%増)、純利益14億8000万円(前期は36億円の赤字)を見込んでいる。

 業績回復の背景には、地方自治体向けシステム提供サービスが好調に推移しているためだ。さらに、減価低減と不採算案件の撲滅により、こうした公共部門の収支が改善したことが挙げられる。

 受注動向は、製造業を中心に産業向けと証券向けが景気後退の影響を受けているものの、保険業界向けと地方自治体向けが順調に推移している。中でも、収益改善の原動力となっているのは、自治体向けビジネスでシステムの標準化を行ったこと。今期は、前期あった後期高齢者制度対策対応特需の反動減はあるものの、逆に定額給付金対応特需の発生が見込めるほか、前期受注した自治体関連ビジネスの拡大が見込めるためだ。

 さらに同社は、2月20日に、2012年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。それによると、最終年度に当たる2012年3月期の売上高は500億円、営業利益40億円としている。この中期経営計画の基本方針として、(1)全てのステークホルダーの満足、(2)新規事業・新規顧客開拓――を挙げている。受注・売上高の拡大に向けては、(1)積極的なM&A(企業の合併・買収)の実施、(2)営業人員の増強・営業スペシャリストの育成、(3)新規事業の創出、(4)BCP(緊急時企業存続計画または事業継続計画)ビジネスの展開、(5)アライアンスの展開――を目指す。

 そのほかの具体策としては、(1)宿泊施設付研修の整備、(2)女性・外国人の活用、(3)主任制度の導入・管理職登用の早期化、(4)関連会社の整理・統合――としている。

 今後も、健康保険制度、年金制度、税制改革、定額給付金など国民全体を対象とした公的制度の改正が予想されることから、同社にとって今後も公共関連のビジネスが拡大する可能性が高い。

 同社の株価は、2009年2月23日に安値386円を付けて以降、順調な上昇軌道を描き3月23日には高値584円を付けた。ちょうど1カ月間で50%以上の急上昇をみせた。その後は、短期急騰の後だけに、さすがに小幅調整となっているものの、連結PERは17倍台と割高感はない。中期的には、700円台乗せも期待できそうだ。

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