アルファシステムズ、株価急反発の背景

 情報システム開発大手アルファシステムズの株価が、先週末にかけて急反発をみせた。2008年3月期の第3四半期の決算が大幅増益を達成したためだ。

 先週17日に同社が発表した2008年3月期の第3四半期(2007年4〜12月・非連結)の決算は、売上高177億1900万円(前年同期比5.9%増)、営業利益19億5800万円(同16.6%増)、経常利益20億9400万円(同17.8%増)、純利益13億5100万円(23.9%増)と大幅増益を達成した。

 上半期同様に、通信キャリア間の競争激化などに伴いソフトウェアの開発計画の見直しや抑制が相次ぐなかで、携帯電話向けの組み込みソフトなどモバイルネットワークシシテム向け事業が伸び悩み、この分野の第3四半期の売上高は50億3800万円(前年同期比18%減)となった。

 しかし、一方で同社の得意分野である通信事業のNGN(次世代通信ネットワーク)に関するノードシステム(伝送などのシステム)の売上高は、43億8200万円(前年同期比40.7%増)と大幅な増加をみせているのに加え、NTTデータ経由での一般企業向けシステム開発であるオープンシステムも20億5300万円(同25.8%増)と大幅な増収を達成した。

 この通信事業分野が大幅な売上高増となったのは、NTTなどが首都圏の一部地域に限定した試験的なものながら、2008年春からのNGN関連の商用サービス開始を公表して以降、NGN関連の受注が加速していることが背景となっている。このNGNは今後年を追うごとに受注はさらに拡大するものと予想され、同社の業績拡大に寄与することになりそうだ。

 今回の第3四半期の決算発表では2008年3月期通期の業績予想については、従来予想の売上高262億円(前期比10.5%増)、営業利益34億円(同14.3%増)、経常利益35億5000億円(同14.4%増)、21億円(同15.1%増)として、業績の上方修正を控えて慎重な姿勢をみせているものの、最終的には増額修正に進む可能性が高まっている。

 同社は、2010年3月期まで、年率10%以上の増収、売上高営業利益率10%以上という中期計画を打ち出しているが、この目標は十分達成できることになりそうだ。

 同社の株価は、2007年1月22日に2007年来高値の4160円をつけて以降、長期間にわたって大幅な下落を強いられて、2008年1月17日には一時2070円の昨年来安値まで売り込まれ、過去1年間に株価は半値以下になった勘定だ。

 しかし、同日に第3四半期の好決算が発表されたのを受け、同日の終値は、前日比140円高の2305円まで買い進まれ、翌日の週末18日も終値で前日比285円高の2590円までの大幅上昇をみせた。これは、行き過ぎた安値水準に放置されていた銘柄が、予想以上の好業績見通しの発表を好材料として、急速に見直された典型的なケースといえる。

 急上昇した18日終値の2590円で試算した今期のPERは依然として15.2倍と割高感はない。2日連続の急騰のあとだけに、短期的には目先筋による利益確定売りで反落する可能性はあるものの、中期的には今3月期、さらに来3月期の業績好調を好感した買いが継続し、株価も中期的には3000円台での活躍が期待できそうだ。

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