全般波乱相場の中、松下電器の反転上昇に期待

 2008年。年明けの東京株式市場は、1月4日の大発会でいきなり日経平均株価が前年末比616円安(一時、765円まで下落)の急落に見舞われるという大波乱のスタートとなった。

 東京株式市場が休場中の年末年始に、NY原油先物価格が1バレル=100ドルを突破。米国景気の減速懸念を受けてNY株式相場が大幅安、外国為替市場では一気に円高・ドル安が進行するなどマイナス材料が重なり市場参加者の心理を極端に悪化させた。とくに、急速な円高進行に対する警戒感から電機、自動車、精密機械といった主力輸出関連銘柄に持ち高整理の売りが加速して予想外の大幅安に沈む銘柄が目立った。

 2007年の11月以降、全体相場が軟調に推移する中にあっても比較的堅調な値動きとなっていた代表的な国際優良株である松下電器産業の株価も、4日は前年末比140円安の2175円と大幅安を強いられた。しかし、松下電器の業績は今後も順調な推移が予想されることから、全体相場が落ち着きを取り戻し次第、再び株価は上昇軌道に復帰し、中期的には2500円水準を目指す期待が持てそうだ。

 同社の2007年9月中間期の連結決算(米国会計基準)は、売上高4兆5253億円(前年同期比3.1%増)、営業利益2199億円(同6.1%増)と好調な結果となり、6年連続で増益を達成した。米国でのプラズマテレビの苦戦があったものの、中国などのアジアや欧州向けを中心に薄型テレビ、デジタルカメラなどのデジタル家電や、エアコン、電子レンジなどの白物家電が好調な推移をみせたことが寄与した。

 2008年3月期通期の連結決算については、売上高8兆7800億円(前期比3.6%減)、4770億円(同3.8%増)、4520億円(同2.9%増)、2460億円(同13.3%増)と見込んでいる。円相場の急速な円高進行は懸念材料とはなるものの、もともとこの業績目標はかなり控えめであることから十分達成可能といえそうだ。

 同社は、2010年3月期を最終年度とする中期計画を設定している。それによると「収益を伴った着実な成長」を積み重ねることでグローバルエクセレンスへの挑戦権を得ることを目的に、「連結売上高10兆円(うち海外で60%以上)、営業利益率10%以上、ROE(株主資本利益率)10%、グローバルシェアNo.1の商品比率が30%以上 」を目標にしている。これを達成するために?海外2ケタ増販?4つの戦略事業(デジタルAV事業、生活快適実現事業、半導体・デバイス事業、カーエレクトロニクス事業)の拡大?継続的な選択と集中――の3点を重要なテーマとして掲げている。

 さらに、松下電器は昨年12月25日、日立製作所、キヤノンの両社と薄型ディスプレー事業で包括提携すると発表した。松下は、日立などと共同出資するテレビの液晶パネルの製造会社、IPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)の経営権を握った上で、IPSの新工場を「2009年度中の稼働を目指して建設する」(大坪文雄社長)としている。日立の古川一夫社長は、「(巨額投資が必要なパネル生産は)1社だけでやるものではない。世界で勝ち抜くために必要な選択だ」と提携の意義を強調し、薄型ディスプレーの開発・製造費用を3社で負担して、液晶パネルメーカーの最大手グループ(東芝、シャープ、パイオニア)に対抗する構えだ。

 同社の株価は、8月21日と9月11日に1912円の同値で年初来安値をつけて以降、全体相場が軟調に推移する中にあって、比較的堅調な推移をみせて昨年末までは下値を切り上げる展開で2300円台に乗せていた。年初の大発会で大幅反落したものの、75日移動平均線近辺に踏み止まっていることから、全体相場の落ち着きとともに再度上昇相場に転じることになりそうだ。連結PERは21倍と割高感もないうえに、11月以降信用取引の買い残高が急速に減少を続けており、直近の信用倍率は1.45倍まで拮抗し取組妙味も増してきている。

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