ソニー、業績回復基調はどこまで本物か

 先週末7月27日の東京株式市場。日経平均株価が一時500円を超える全般急落商状となる中で、ソニーの株価が終値で前日比70円高と逆行高を見せ、先高期待を抱かせる力強い展開となった。

 26日の引け後に発表した連結営業利益が好感されたソニーの決算内容と今後の業績動向について探った。

 同社が7月26日発表した、2008年3月期の第1四半期(2007年4〜6月)連結決算(米国会計基準)は、売上高1兆9765億円(前年同期比13.3%増)、営業利益993億円(同約3.7倍)、純利益665億円(同約2.1倍)となった。第1四半期ベースでの営業利益993億円は、過去最高を更新した。

 大幅増益の背景には、エレクトロニクス分野で売上高が12%増加となったことがある。

 同部門の営業利益は841億円となり、前年同期比77%増と大幅に増加した。これは、売り上げ増加による増収効果が140億円、さらに円安による為替益260億円も大きく寄与した。

 ただし、ここで気をつけなければならないのは、各商品別の内容だ。好調が伝えられていた液晶テレビなどのテレビ事業だが、売上高こそ前年同期比約20%増の約2000億円の売上高を確保したものの、欧州地域などをはじめとして販売価格の低下が想定以上となったことから、営業損益ベースでは約400億円近い赤字となった。

 この液晶テレビでの採算悪化をカバーしたのがデジタルカメラや同ビデオカメラの好調。欧米を中心に「サイバーショット」などが好調な売れ行きを示した。

 一方、ゲーム機器事業の営業損益は292億円の赤字となり、前年同期の268億円の赤字からさらに赤字幅が広がる結果となった。主力商品の「PLAYSTATION 3」について、普及を加速するために販売価格を大幅に引き下げたことが採算の悪化を招いた。今後も短期間での採算の向上は難しそうだ。

 さらに、金融部門の第1四半期は、営業利益率が前年同期の3.7%から18.3%へと大幅な上昇をみせた。これはソニー生命で一般勘定における転換社債の評価損益の改善や保険料収入の増加さらに、株価の上昇による保有有価証券の評価向上も寄与した。

 外国証券のアナリストは「第1四半期の決算については、営業利益が予想を上回る高い達成率を示した。しかし、内容的にはデジタルカメラの販売好調や円安メリットに依存するところが大きく、依然として主力の液晶テレビやゲーム機器事業が大幅な赤字状態にあることは気がかりな点だ」としている。

 ソニーの先週末27日の株価終値は、前日比70円高の6420円。連結PERは20.1倍と依然として割安水準にある。今回の第1四半期の好決算発表で、株価は反転上昇基調となってきた。しかし、内容的には“完全復活”とは言い難いことも事実。株価の戻りメドは、2007年5月22日につけた年初来高値の7190円水準になりそうだ。

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