システムプロ、MNP進展に伴う好業績で上放れの兆し

 MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティー=携帯電話の番号継続制度)の進展に伴い、携帯電話およびネット関連のソフト開発を手掛けるシステムプロの業績が順調に拡大している。株価も2月後半以降の持ち合い相場から上放れる兆しを見せ始めている。

 同社が3月5日に発表した2007年10月期の第1四半期(2006年11月〜2007年1月)の連結決算は、売上高16億7500万円(前年同期比50.8%)、営業利益3億1500万円(同2.3倍)、経常利益3億3400万円(同2.5倍)、純利益1億6700(同2.3倍)と大幅な増収増益となった。

 携帯電話向けの組み込みソフトなどの設計・開発支援、品質検査業務を手掛ける主力のモバイルネットワーク事業が、第1四半期では前年同期比64%増と大幅に拡大し、全売り上げをけん引した形だ。

 これは2006年10月下旬のMNPスタート以来、通信キャリア各社が顧客囲い込みを目指し、ソフト関連の需要が予想以上に好調な推移となったため。さらに、金融機関や大手ポータルサイト向けのウェブコンテンツ開発や品質検証などで順調に推移したため、ネットワーク・ソリューション事業においても、売上高が前年同期比34%増と順調な拡大を見せた。

 2007年10月期の第2四半期(2007年2〜4月)以降は、MNP進展に伴う通信キャリア各社の高速化やマルチメディアコンテンツの充実に伴う需要が引き続き拡大する見通し。加えて、イー・モバイルが3月31日から3.5世代携帯電話「HSDPA」を利用したモバイル端末向け定額データサービスを開始したこともあり、多機能化、高機能化、高性能化のための需要加速が見込まれている。

 さらに、ウェブソリューション事業でも、金融機関向けや、大手ポータルサイト向けなど得意分野への技術集中による品質および生産性の向上を実現し、大規模ポータルサイトの開発や品質検証業務など、主力業務を強化することで拡大を目指している。

カテナと資本・業務提携が好材料に

 また、2007年2月28日に同社とシステム開発のカテナが資本・業務提携したことを明らかにしたことが注目を集めている。両社は、ユビキタス社会の到来にあたり、?携帯?金融?ポータル──という3つのキーワードに基づいて資本・業務提携を行うことで合意したことを明らかにしている。システムプロはカテナ株式の29.92%を保有し、持分法適用会社とした。

 業務提携の具体的な内容については、?システムプロの強みである品質管理業務について、カテナが強固な顧客基盤を金融分野への展開?システムプロのシステム開発案件納品後の保守・運用案件をカテナの同部門で共同受注?システムプロ支援によるカテナ内での移動体通信端末やネット家電など品質評価部隊の新規立上げとシステムプロからカテナへの業務の発注?携帯向け金融決済システムなど両社の強みの活きる分野での中〜大型一括受託案件への共同提案――などとなっている。

 カテナとの資本・業務提携が寄与する可能性が高いものの、2007年10月期の連結業績について、会社側では2006年12月7日発表の売上高80億2600万円(前期比35.7%増)、経常利益14億4300万円(同49.1%増)、純利益8億5500万円(同42.1%増)を据え置いている。しかし、この業績見通しは上方修正される可能性が高まっている。

 同社の株価は2006年11月21日の安値の6万9500円を底に、3カ月の短期間に順調な上昇を見せ、2007年1月13日には12万1000円(底値比74%増)を付けたあと、ほぼ11万円から11万5000円のボックス相場となっていたが、ここにきて上放れる兆しを見せ始めている。当面は、2006年1月13日につけた12万円4000円が焦点となるが、この水準を超えてくると意外高の展開となることも期待できそうだ。

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