「Windows Vista」発売で改めて注目のエルピーダメモリ

 2007年のIT・ネット関連業界で最初のビッグイベントは、1月30日にマイクロソフトの新世代OS(基本ソフト)「Windows Vista」が国内一般向け市場に投入されることだ。

 Windows Vistaは2001年に発売された現行の「Windows XP」以来約5年ぶりの新製品。3次元画像などの画像処理能力の向上と、セキュリティー対策を講じやすくしたという点が特徴となる。

 ただ、Vistaはパソコンをより快適に作動させるための最新のプログラムに加え、新機能が追加されたため、こうした機能を十分に活用するためには高水準のパソコン環境が必要になる。これまで、新OSの普及がパソコンのハード面でもCPU(中央演算処理装置)、HDD(ハードディスク駆動装置)の大容量化を促進してきた経緯があることを考慮すると、Vistaの普及が大容量パソコンの買い替えを促進する可能性が指摘されている。

 Vista関連として恩恵を受ける銘柄として株式市場で注目を集めているのが国内唯一のDRAM(データの記憶・読み出し機能を持つ半導体メモリー)専業メーカーのエルピーダメモリだ。

 DRAMは電子機器のソフトウェアの保存や画像・音声情報の記憶などに幅広い用途があり、パソコンやデジタル家電、携帯電話など電子制御が必要な工業製品の大半に搭載されている。エルピーダメモリは1999年にNECと日立製作所が自社のDRAM製造部門を統合して設立した企業で「世界ナンバーワンのDRAMソリューションカンパニー」を目指している。

 パソコンメーカーはVistaの普及に対応するために半導体の調達を積極化している。例年は年末(クリスマス)商戦向けの調達が一巡する11月から需給が緩んで価格も値下がりに転じるケースが多いが、2006年は12月に入っても市況が堅調な推移をみせている。さらに、今後も2月に向け旧正月商戦が本格化するアジア圏向けの需要が増加することなどからひっ迫した需要が継続することになりそうだ。

 さらに同社は12月7日、台湾の半導体大手台湾PSCと台湾・台中にあるサイエンスパーク内にDRAMの生産合弁会社を設立すると発表した。また、同時に将来の微細加工プロセス開発における一端を共同開発することでも基本合意した。同社はこれまで、プレミアDRAM(モバイル用、デジタルAV用、サーバ用)を積極展開することで競合他社に対して優位性を確保してきた。しかし、今後は最大市場であるパソコン用DRAMに本格参入することで、台湾PSCと合わせて世界トップシェアを確保することを目指している。

 同社の株価は業績の好調を目指す経営姿勢が好評価されて、2006年11月20日の安値5000円から12月27日の高値6660円まで約1カ月で33%もの急ピッチでの上昇をみせている。連結PERは依然として16倍台と割安水準にあることからも、エルピーダメモリは引き続き株価の上昇が見込める銘柄として市場の注目を集めることになるそうだ。

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