ネットワン、中間期大幅減益も下期の回復期待高まる

 通信ネットワーク構築で最大手のネットワンシステムズの業績は、9月中間期連結決算で大幅減益となった。しかし、下期の収益は回復の兆候を見せ始めており、株価の反発上昇にも期待が高まっている。今後の同社の業績動向と株価推移について探った。

 11月7日に発表した同社の2007年3月期9月中間期の連結決算は、売上高505億1500万円(前年同期比1.8%増)、営業利益19億200万円(同57.5%減)、経常利益18億9600億円(同58.4%減)、純利益10億9100万円(同59.2%減)と大幅な減益を強いられた。公共向けの入札案件の獲得が予想を下回ったことなどが主因。しかし、これは8月に同社が明らかにした業績下方修正の範囲内に止まり、大きなマイナスサプライズには到らなかった。

 下期も上期の下振れ要因だった価格競争などのリスクは多少残るものの、このところ減少を続けてきたネットワークス機器などの通信分野に第2四半期以降は回復の兆しが出始めてきていることから、下期以降の業績回復に期待がかかっている。

 9月中間期では、売り上げの面でNTT東日本やKDDIなど大手通信キャリア向けの大型案件が前年同期に比べて減少したものの、金融、自動車などEP(一般民間企業向け)が前年同期に比較して10%程度増加したことなどが増収に寄与した。しかし、利益面では第1四半期の案件での価格競争を背景としたネットワーク機器販売単価の下落傾向や、子会社への先行投資的な開発などの増加により大幅な減益となった。

 下期以降の見通しについて同社では、「EP系の投資意欲は引き続きあり、公共系についても官公庁および地方自治体向けの既存設備の再投資などが予想される。一方、SP(通信キャリア)系については、既存設備投資は減少するものの、新規サービスなどに関連する設備投資も予想され、全体として市場環境は拡大傾向となっている」としている。

 2007年3月期通期の連結業績について同社では、売上高1200億円(前期比11.7%増)、経常利益75億円(同4.1%減)、純利益43億円(同10.1%減)と従来予想を据え置いている。中期的な課題について同社では「顧客(一般民間企業、通信事業者、中央官庁)や各地域に即した営業体制の強化、グループ会社との連携によるサービスメューの充実、パートナー企業との技術的連携や新規商品の開拓、社内基盤の整備が不可欠となる。そのため、人材育成・新規技術開発への積極的な投資を行い、顧客のニーズに対応する体制を構築し、企業価値の増大による継続的な成長を図りたい」としている。

 9月中間期の連結決算が大幅減益となったものの、ネットワンシステムズの株価は10月11日の安値15万1000円を底に反転上昇軌道に乗り、このところの全般相場の軟調地合いにもかかわらず力強い値運びとなっている。株価推移は典型的な下値切り上げパターンとなっており、先週の11月9日には18万9000円まで買い進まれる場面もあった。しかし、依然として連結PERは20倍水準と、IT・ネット関連の銘柄としては割安と判断してもよさそうだ。今後は中期的に株価20万円乗せを目指す展開が期待できそうだ。

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