注目度満点のミクシィ--300万円スタートの声も

 「mixi」を運営するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)最大手のミクシィが9月14日に東証マザーズに新規上場する。IT・ネット関連の大物有名企業の登場とあって、その初値形成や上場後の株価推移に対して市場関係者の注目が集まっている。

 SNSは、身近な友人や知人とのコミュニケーションや、共通の趣味嗜好に関する情報交換などを目的として展開されるウェブサイトおよびそのサービスで、mixiの会員数は7月に500万人を突破している。なお、既存会員からの招待がなければ会員登録できない仕組みとなっている。さらに同社では、IT系求人情報サイト「find job!」を運営するインターネット求人広告事業も展開している。

 同社は、代表取締役社長の笠原健治氏が1999年に有限会社イー・マーキュリーとして設立し、同社長が大学在学中に提供開始した求人情報サイト「find job!」の運営からスタートした。その後、2000年10月には株式会社化し、2001年にプレスリリース配信代行サイト「@Press」の運営を開始(2005年9月にネットエイジキャピタルパートナーズへ譲渡)。2004年2月にはmixiの運営をスタートした。

 事業売上高では、依然として求人広告事業の方が大きいが、足元の業績成長はメディア事業の急拡大がけん引している。収益源は広告枠販売とフォトアルバムなど機能追加による有料会員サービスだ。広告枠販売では、バナー広告やリスティング(検索結果連動型)広告、属性を絞って掲載するターゲティング広告などを扱っている。6月末時点の月間閲覧数は60億ページビュー。利用者の滞在時間の長さも大きな特徴。会員数と閲覧数の増加に連動して広告収入も大幅に伸びている。「find job!」では月間2100社程度の求人情報を扱う。「mixi」への広告掲載や連動企画によるシナジー(相乗)効果創出に力を注いでいく考えだ。

 2007年3月期の連結業績について同社では、売上高47億8900万円(前期比2.5倍)、経常利益17億1900万円(同88%増)、9億8600万円(同71%増)と大幅な増収増益を見込んでいる。また、2007年3月期の予想1株利益は1万4953円を見込んでいる。

 ネット関連企業の中では非常に知名度が高く、事業規模が大きい上に収益性にも富み、今後の成長性にも期待が寄せられているだけに、上場時の初値の水準やその後の株価推移に市場関係者から大きな関心が寄せられている。公開価格は、ブックビルディング仮条件上限である1株あたり155万円と決まった。155万円で計算すると、今期予想PERは103倍とすでに割安感からはほど遠い水準にあるものの、ネット投資家からの集中人気で破格の初値形成となる可能性も指摘されている。

 ネット広告事業をメインとし、ベンチャーキャピタルなどのファイナンス事業のネットエイジキャピタルパートナーズを傘下に持つ純粋持ち株会社のネットエイジグループが、8月30日に東証マザーズに新規上場したが、同社がミクシィ株式の17%を保有する大株主であることが好材料視されて買い人気を集め、初値は公開価格60万円の2倍に相当する120万円となり、その後もストップ高の140万円まで買い進まれるにぎわいをみせた(ただし、過熱感から先週末の9月1日終値では100万円まで株価は沈静化している)。

 準大手証券のIPO担当のアナリストは「知名度、注目度が非常に高い銘柄であることから、公開価格の155万円に対して約2倍の300万円前後の水準が初値のひとつの目安となりそうだ。しかし、その時点で予想PERは200倍と異常値になるうえに、上場時の発行済み株式数が7万500株と比較的大きいことに加え、楽天を巡る一部報道による新興IT・ネット関連銘柄への波乱影響などの相場環境を考慮すると、従来の予想よりも穏健な初値形成となる可能性もある」としている。

 いずれにしても、初値が2倍以上となるなど過熱人気となった場合、その後の株価は落ち着きどころを求めての調整局面となることは避けられそうにない。

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