サイバード、大幅上方修正濃厚で株価上昇に期待感

 ジャスダック市場上場の携帯電話向けコンテンツ配信会社のサイバードの株価が、新興市場全般の株価底入れの兆しを象徴するようなジリ高歩調をたどり、今後の地に足のついた回復相場を予感させる動きとなってきた。

 同社が5月25日に発表した前期2006年3月期の連結決算は、売上高150億8900万円(前々期比20.8%増)、営業損益2億4700万円の赤字(前々期は7億1800万円の黒字)、経常利益3500万円(同95%減)、最終損益1億4300万円の赤字(前々期は15億1900万円の黒字)と最終赤字を強いられる厳しい決算となった。これは、監査法人のトーマツから海外子会社ののれん代償却の必要性を指摘され、販売費・一般管理費に当初想定していなかった約2億円を計上したことなどが響いたためだ。なお、サイバードは監査法人をトーマツから新日本監査法人に変更するとしている。

 会社側では2007年3月期の連結業績を売上高181億円(前期比20%増)、経常利益3億円(同8.6倍)、最終損益1億円の黒字転換(前期は1億4300万円の赤字)と予想している。しかし、今年10月からジャスダック上場の化粧品・健康食品・家電製品を中心とする通信販売会社のJIMOSと経営統合する予定であることから、この会社側の予想はかなり控えめであり、上方修正の可能性が濃厚となりそうだ。

 両社が10月からの経営統合を打ち出したのは、両社の顧客データベースを統合して有効活用することで、携帯電話向けの通販事業を本格的に展開するためだ。サイバードはこれまで占いや着信メロディー、ニュースなどのコンテンツを配信してきたが、九州を地盤に化粧品・健康食品・家電製品などの通信販売サイトを展開するJIMOSの顧客データベースや販売力との相乗効果での飛躍を目指している。

 サイバードが10月1日付で株式交換(JIMOS株1株に対してサイバード株1.17株を割り当てる)を活用してJIMOSをいったん完全子会社化する。同日中にサイバードを会社分割して持ち株会社を設立する。したがって、持ち株会社の傘下に旧サイバードの事業を継承する新会社とJIMOSが完全子会社としてぶら下がることになる。JIMOSは株主総会の承認を経て上場廃止となる見通しだ。

 JIMOSの業績は、2006年6月期予想で連結売上高142億2500万円、経常利益4億2700万円とサイバードとほぼ同様の水準にあり、業績への寄与度は非常に大きくなるにもかかわらず、サイバードの今期の業績には織り込まれていないことから、数カ月後には2007年3月期の連結業績予想を統合後ベースで見直すことになりそうだ。したがって、このため不確定要素は多いものの、のれん償却代などを勘案しても業績のV字型回復への期待感が強まっている。

 サイバードの株価は、今年1月16日には年初来高値の33万6000円を付けたが、ライブドア・ショックの影響によるIT・ネット関連銘柄の急落に連動するかたちで2月20日には12万6000円まで下落した。その後いったん4月4日には20万6000円までも戻したものの、6月2日には10万6000円まで再び下落、その後ようやく反転上昇基調を強めジリ高歩調を堅持しながら、先週末にはようやく14万円台にまで回復をみせている。当面、20万円台の株価水準回復に期待が寄せられている。

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