三菱電機は連動安からの回復期待

 東京株式相場はようやく底打ち反転の兆しをみせはじめてきた。その中で、戻り相場のけん引役として期待されているのが主力ハイテク銘柄だ。5月中旬以降の全般急落相場のなかで、業績の好調推移が予想されるにもかかわらず、主力ハイテク銘柄が連動安する動きが目立った。こうした銘柄群にも先週後半からようやく反転上昇の兆しがみえはじめた。なかでも注目したいのが、三菱電機だ。

 三菱電機は総合電機5社(日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通)の中でも着実に収益力を高めており、株価面でも顕著な回復が期待できそうだ。

 同社の経営戦略は、これまで総合電機の収益の柱とされてきた、半導体関連や情報通信(コンピュータ)、家電製品といった分野での必要以上の無用な競争に巻き込まれることを回避し、収益力ある得意分野の電力システム、昇降機、FA機器、自動車用電装品、人工衛星、光通信システム、空調・住設機器などをより強化して利益率の向上を図ろうというものだ。

 同社の2007年3月期の連結業績予想は、3兆7000億円(前期比3%増)、営業利益1750億円(同11%増)、経常利益1600億円(同5%増)、純利益1050億円(同10%増)と予想している。しかし、この業績予想はかなり控えめで、利益面では上方修正の可能性が高まっている。

 同社の連結営業損益は、2001年3月期の1954億円から2002年3月期は一転して680億円の大幅赤字に落ち込んだ。営業損失の背景は、携帯電話などの「情報通信システム」と半導体などの「電子デバイス」の両部門の極端な収益悪化だった。2003年3月期の802億円の営業損失、2004年3月期は41億円の営業損失と年々赤字幅が縮小し、2005年3月期には63億円の営業黒字転換し、2006年3月期には341億円の営業利益と急速な改善をみせている。これは、赤字の元凶となっていた両部門からの早期の事業撤退(携帯電話の欧州事業撤退、一部を除く半導体事業の分離・分社化)が功を奏したためだ。

 三菱電機と日立製作所が出資する半導体専業メーカーのルネサステクノロジは6月8日、連結売上高について、2006年3月期の実績9060億円から2008年3月期には1兆円超に引き上げる計画を表明した。利益面については「できるだけ早期に売上高営業利益率10%以上を確保したい」(伊藤達会長兼CEO)としている。

 また、次世代半導体について、線幅65ナノ(1ナノは10億分の1)メートルを松下電器産業と共同開発した実績から、次の微細化目標である45ナノメートルも松下と共同開発することを明らかにした。ルネサスの売上高は2005年3月期に、一度1兆24億円と1兆円の大台に乗せた経緯があるが、2006年3月期は国内需要の低迷に加え、マイコンや液晶用半導体の単価下落が響き、約10%の減収を強いられた。今後は、携帯電話や自動車向け半導体や中国を中心とするアジア向けなどに経営資源を充て、早期に目標を達成させる考えだ。

 先週末6月16日現在の日立の連結PERは67.0倍、東芝29.7倍。これに比べて三菱電機は19.7倍(株価883円)と依然として割安水準にある。今後、全体相場の戻りも支援材料となって早期の1000円台回復に期待が持てそうだ。

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