業績好調のアルファシステムズに上放れの兆し

 NTTグループ、富士通など大手通信関連会社向けソフトの受託開発を主力とするアルファシステムズの株価が、中段持ち合いのボックス相場から上放れて上昇軌道に乗る気配を見せ始めてきた。

 5月12日にアルファシステムズが発表した2006年3月期の決算(非連結)は、固定通信網および移動通信網でのブロードバンドサービス化促進などを背景として、ノードシステム、モバイルネットワークシステムの好調により、売上高221億9300万円(前々期比9%増)、営業利益21億3200万円(同64.6%増)、経常利益22億5800万円(同59.2%増)、純利益12億円(同63.1%増)と、大幅増益の非常に好調なものとなった。

 セグメント別では、ノードシステム部門で、次世代ネットワーク構築に向けたコアネットワークのIP化およびアクセス系ネットワークの光化の進展に伴い、次世代ノードシステムおよび既存システムのマイグレーション(プログラムやデータの移行・変換作業。特に、OSなどの環境が異なるシステムへの移行を指すことが多い)関連業務の受注が拡大し、計画を上回る受注を確保したことから売上高は35億5300万円(前期比42.4%増)の大幅増収となった。

 モバイルネットワークシステム部門では、3.5世代移動体通信システムのシステム開発はほぼ終息したものの、モバイルネットワークのIP化に向けた開発が本格化したことから、無線基地局関連業務が好調な推移をみせ、売上高は82億8200万円(同28.6%増)となった。

 半面、ネットワークマネジメントシステム部門は、ブロードバンド化に伴うネットワーク管理システム関連の受注が順調に推移したものの、コアネットワークのIP化に伴う開発案件の受注遅延が発生したことから、売上高は69億8300万円(同16.3%減)と減収を強いられた。

 2007年3月期の業績予想について同社は、売上高245億円(前期比10.4%増)、経常利益27億円(同19.5%増)、当期利益15億円(同24.9%増)と、今期も10%増収、20%程度の大幅増益を見込んでいる。

 セグメンント別では、ノードシステム部門で次世代ネットワーク構築に向け、コアネットワークIP化およびアクセス系ネットワークの光化がさらに進展することに伴い、次世代ノードシステム開発の好調推移が期待できることから、売上高は44億円(前期比23.8%増)を見込む。前期減収となったネットワークマネジメント部門でも、ネットワークのIP化光化の進展に伴う、通信サービスの追加に対応したシステム開発、および次世代ネットワークの構築に伴う新しいネットワーク管理システムの受注拡大が予想されるため、売上高は83億円(同18.9%増)と大幅な回復を見込んでいる。

 同社では、中期的な経営方針として2009年3月期の業績について、売上高300億円、経常利益39億円と設定している。さらに、継続的に売上高の年率10%の増収、売上高経常利益率10%以上の確保を目指している。また、株式の流動性を高めるため、投資単位(現在100株)の引き下げも検討している。中期的な同社の事業環境は、NTTが今後固定通信網での次世代ネットワークの構築を推進することから、それに対応したソフト開発関連事業の高水準な受注が期待できそうだ。

 同社の株価は2月21日に2800円の安値をつけたあと一転上昇に向かい、4月10日には3980円の年初来高値をつけ、その後3800〜4000円のボックス相場が続いていたが、業績面での好調さが改めて評価されて、そろそろこのボックスを上放れることになりそうだ。

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