業績好調のテレビ朝日、万年4位の汚名返上へ

 楽天・TBS問題が長期化するなかで、その陰に隠れてはいるものの民放テレビキー局5社の業績にかなりの明暗がでている。そのなかで“勝ち組み”との印象を与えているのがテレビ朝日だ。株価も8月以降順調な上昇軌道をたどり30万円台での堅調な推移となっている。

 民放キー局5社の2005年9月中間期の連結決算が11月17日に出そろった。テレビ朝日やフジテレビは、高視聴率を背景に好調な推移をみせているものの、視聴率競争で苦戦を強いられた日本テレビは大幅減益、番組制作費がかさんだTBSの経常利益が前年同期で半減するなど、明暗を分けた。

 フジテレビの売上高は、ニッポン放送を完全子会社化したこともあり、前年同期比25%増の2948億円、純利益も同24.6%増の127億円で、大幅な増収増益となった。テレビ朝日も、サッカーのワールドカップアジア最終予選などをはじめ、高視聴率番組を相次いで放送したことから、スポット広告の収入が大幅に伸び、増収増益となった。半面、日本テレビは、かつてドル箱だったプロ野球巨人戦の視聴率低下傾向に歯止めがかからず、過去最低を記録するなど厳しい環境の中、売上高は前年同期比2.4%減の1755億円、純利益も同26.3%減の43億円と大幅減益だった。テレビ東京は、前年のアテネ五輪特需がなくなり売上高が1.1%減少した。

 11月17日に発表したテレビ朝日の9月中間期の連結決算は、1234億円(前年同期比4.2%増)、営業利益89億円(同32.3%増)の大幅増益となった。これは、従来予想に比べて売上高で15億円、営業利益で23億円の上方修正となった。この好業績の背景となっているのは、上期のスポット広告が6.4%増と従来計画(4.0%増)を上回ったことに加えて、連結子会社のテレビ朝日ミュージックの業績が好調に推移したことが寄与しているためだ。同社では2006年3月期通期の連結業績について売上高2460億円(前期比1.6%増)、営業利益153億円(同12.5%増)としている。今上期の同業他社の傾向として、番組制作費の大幅増加が目立つなか、同社の場合は視聴率水準の改善を背景に番組制作費については放送収入動向応じてコントロールされているのが大きな特徴といえる。

 同社は下期のスポット広告収入について、従来予想の前年同期比1.4%増を同3.1%減と見通しをあえて引き下げるなど慎重な見方をしている。ただ、同社の視聴率は好調に推移していることから、当面は民放キー局5社平均を上回る広告収入の伸びが見込まれる。

 外国証券のアナリストは「テレビ朝日といえば、視聴率では長い間“万年4位が定位置”とされていたが、最近ではプライムタイム(放送業界で19時〜23時の時間帯を指す時間枠のこと)では3位に浮上するケースが目立ちこれが定着しつつある。業界関係者のあいだでは、全日の視聴率でも早い時期に3位に浮上する可能性が高く、これは広告収入の拡大には大きな追い風となりそうだ」としている。

 同社の株価は今年7月まで22〜24万円のレンジでの推移となっていたが、8月以降業績の好調な推移を反映して上昇軌道をたどっている。10月14日には年初来高値32.5万円をつけた以降もほぼ30万円台を維持している。連結PERは30倍台半ばとやや割高感はあるものの、今後は30万円水準を挟んでもみあいを続けたあと、中期的には再び上昇トレンドとなり来年にかけて40万円台を目指す展開が期待できそうだ。

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