CTCの株価反転の兆しは、来期業績への期待感か

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)の株価がようやく上昇の兆しを見せはじめている。株価反転の背景には、来期(2006年3月期)の業績回復への期待感がありそうだ。

 同社が1月31日に発表した2005年3月期の第3四半期(2004年4〜12月)の連結業績は、売上高1512億5900万円(前年同期比16.6%減)、営業利益102億2900万円(同2.6%減)、経常利益104億1300万円(同2.7%増)、当期純利益59億7900万円(同1.1%増)となった。これに伴い、2005年3月期通期の連結業績は、売上高2750億円(前期比3%増)、営業利益196億円(同13%増)、経常利益196億円(同13%増)、純利益100億円(同2%増)と予想している。

 第3四半期の連結業績について、売上高が前年同期比に比べて大幅に減少したにもかかわらず営業利益が微減水準に止まったのは、サポート事業が貢献したことに加え、採算管理の徹底に伴う効果が顕在化したことで、売上総利益率が改善したことがあげられる。さらに、オフィスの統合などによる経費の削減も奏功し、販売管理費が前年同期に比べて23億円も減少したことも寄与した。

 同社は、2003年以降経営の基本スタンスとして安定性と成長性の両面を追求する経営改革に取り組んできている。その具体的な表れとして、売上原価を引き下げることを目標(2006年3月期の売上原価率75%以下)としている。第3四半期までの累計ベースで売上原価率はすでに75.2%にまで低下しており、目標の達成はほぼ確実とみられている。

 来期に当たる2006年3月期の業績については、すでにこれまでの経費削減などの効果で利益が上がる経営体質が整いつつあることから、売上の回復がポイントとなる。来期は、業界の再編・統合に伴って金融・保険業界からの需要拡大が期待できそうだ。したがって、2006年3月期には、今期予想比で売上高が5%程度拡大すれば、営業利益は同10〜20%の拡大要因となりそうだ。

 CTCの株価が、1月19日の4370円高値から2月24日の3750円安値まで14%近く下落したことの背景には、大阪市のコンピュータ関連会社「メディア・リンクス」の架空取引に絡む横領事件がある。この事件で、取引資金約8000万円を着服したとしてCTCの元財務・経理部長田中繁信容疑者が大阪地検特捜部に2月21日業務上横領容疑で逮捕されるなど、メディア・リンクスとの架空取引疑惑問題が浮上していることに警戒感が高まっているためだ。

 この問題についてCTCでは、社内制度改革(人事制度などの変更)や、社員教育・啓蒙の積極化などを実施することで、不祥事イメージからの払拭を目指している。

 CTCの株価は1月19日の高値4370円から一貫して下落傾向をみせていたものの、先週後半の2月24日の3750円を底に25日から反転上昇の兆しを見せている。2004年12月14日の安値である3690円を割り込まずに反転してきたことから、24日の3750円がいわゆる2番底の形成となり、ここからは4000円台回復に向けて株価が上昇する可能性が高そうだ。(超眼)

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