NECの株価堅調は「ハイテク株の物色相場」到来の前兆か

 NECの株価が、2月に入ると同時にほぼ一本調子の上昇をみせている。さらにここにきて、国内大手や外資系の証券会社からNECの投資判断や目標株価を引き上げる動きが相次いでいる。果たしてこのNECの株価の堅調さは、2003年春にスタートした「ハイテク株の物色相場」が再来する兆しとなるのだろうか。

 2月入りと同時にNECの株価が堅調な値動きとなっている。1月25日につけた安値578円を直近の底値として切り返し、その後2月に入ると上昇が加速。2月22日には一時678円まで買い進まれている。つまり、1カ月足らずの間に上げ幅でちょうど100円、上昇率にして17.3%も上昇したことになる。同期間の東証株価指数(TOPIX)の上昇率2.9%に比べると、かなりの上昇率であることがわかる。

 さらに、この株価の上昇を裏付ける要因として市場関係者の間で話題となっていているのが、2月22日のモルガン・スタンレー証券会社によるNECの投資判断の引き上げだ。同証券はNECの投資判断を「Equal-weight」(中立)から「Overweight」(強気)とし、半導体事業の採算改善を柱とする来3月期の大幅増益を予測すると共に、目標株価を従来の660円から760円に引き上げている。

 同証券では、NECの携帯電話端末の営業損失が今3月期第2四半期(2004年7月〜9月)から第3四半期(同10月〜12月)は半減するなど、採算の改善が進んでいることから、来期は黒字転換することを有力視している。今期のNECの連結営業利益について、同証券では前期比29%減の1290億円と予想しているが、来期の連結営業利益は携帯電話端末の黒字化やITソリューション事業の統合効果から、1790億円(今期同証券見込み比38.7%増)になると予想している。

 このほか、日興シティグループ証券会社も前週末の2月18日に、NECの目標株価を800円(従来660円)とした。しかし、こうした強気の見方に対して「1〜3月期の業績結果を見極めないまま、来期の大幅増益転換説は時期尚早ではないのか」(銀行系証券)という慎重論もある。

 準大手証券では「株価チャートの日足は本格的な戻り歩調にあるが、週足でも13週移動平均線と26週移動平均線とのゴールデンクロス(一般的には先高の指標)が接近するなど、中勢でも株価の上昇波入りを示唆している。短期的に見ても700円台回復は早そうだ」としている。

 NECといえば2年前、2003年4月14日の安値333円から同年11月6日の高値1030円まで、半年あまりの間に3倍という大幅高を見せ、当時のデジタル家電の特需観測を背景とした主力ハイテク株が物色を集める相場の先導役を果たしたことが思い起こされる。これと同様に、今回の2月に入ってからの上昇相場も外国人による積極買いが支えとなっている。2003年の上昇相場がスタートしたのも4月半ばだったことを考えると、来3月期の業績見通しの輪郭が見え始めるまで、株価は今しばらくもみあいが続きそうだ。

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