京セラ、業績下方修正も株価判断はなぜか引き上げ

 京セラが今3月期通期の業績を下方修正した。その京セラの株価判断を三菱証券が引き上げ、株式市場関係者のあいだで話題となっている。あえて、株価判断の引き上げを打ち出した背景を探った。

 京セラは1月27日、2005年3月期の第3四半期(2004年10〜12月)の連結決算(米国会計基準)を発表すると同時に、2005年3月期の連結業績見通しについて下方修正を発表した。これを受け翌日28日の同社の株価は、一時前日比270円安の7200円まで売り込まれ、終値でも同130円安の7340円となった。

 同社の業績の下方修正は、通信機器事業、デジタルカメラ事業の赤字拡大と、電子部品需要の鈍化などが主因。売上高を従来予想比1100億円減の1兆1500億円(前期比0.8%増)、税引き前利益は同400億円減の1000億円(同13%減)、純利益が同260億円減の590億円(同13%減)とそれぞれ減額した。また、同時に発表された第3四半期の連結決算は、売上高2921億円(前期比1.8%減)、営業利益193億円(同25.5%減)、経常利益217億円(同24%減)、純利益146億円(同16.5%減)となった。

 ところが、三菱証券は28日付のレポートで、株価判断を従来の「B+」(やや強気)から最高の「A」(強気)に引き上げ、今後12カ月間の目標株価を9200円とすることを明らかにしたのだ。

 三菱証券では、京セラの第3四半期決算をネガティブサプライズとするも、電子部品企業としての成長性を再評価している。レポートでは「KWC(米国の携帯電話製造子会社)の構造改革に今期中に終止符が打たれることで悪材料が出尽くし、業績モメンタムは循環的なボトムを打つ手前にいると考えられる。また、ソーラー、有機パッケージという中長期にわたる強力な成長ドライバーを有する点などを鑑み、押し目買いを推奨する。営業利益予想を2005年3月期が1300億円から950億円へ、2006年3月期が1500億円から1250億円に引き下げ、2006年3月期ベースの1株利益は410円となるが、電子部品企業としての成長性の高さを評価し、株価判断を引き上げる。目標株価は9200円」としている。

 こうした三菱証券の判断について外国証券のアナリストは「確かに京セラの業績は、今回の第3四半期がボトムで、悪材料出尽くしとの見方はある程度理解できる。しかし、株価判断を引き上げて目標株価を9200円とするのは、やや楽観的過ぎるのではないのか」としている。また、投資判断を従来のまま「B」としているUFJ証券は、「KWCに加え、中国PHSの不振などで、下期回復を期待している通信機器の赤字がさらに膨らむ。また、部品の発注調整の影響も予想以上であることが影響する」としている。

 すでに株価は、11月22日につけた昨年来高値の7080円に近い水準にまで下落しており、もし、この水準を下回るようなことになると、下げが加速する懸念もあることも考慮しておかなければならない。

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