CTCの株価を逆行高させた第1四半期決算の中身

 ニューヨークダウ平均株価が1万ドルの大台を割り込んで年初来安値を更新し、日経平均株価も約2カ月半ぶりに1万1000円台を割り込むなど、世界的に株価が大幅安となるなかで、SI大手の伊藤忠テクノサイエンス(CTC)の株価が逆行高となっている。これは、同社が4日に発表した2005年3月期の第1四半期(4〜6月)の連結決算が市場関係者の事前予想を上回る好調な推移となり、この決算を好感した買いが先行しているためだ。

 CTCの2005年3月期第1四半期の連結決算は、売上高425億円(前年同期比12.5%減)、営業利益17億3000万円(同17.5%減)、経常利益15.7億円(同14.2%減)の減収減益となった。しかしこれは、売上高の計上基準を今回の決算からより保守的に変えたためで、従来基準に比べて経常利益で13億円の減益要因が発生した。これは、当第1四半期からシステム事業における売上高の計上基準の変更(個々の商品出荷時点の計上から、同一契約に含まれるすべての商品を出荷した時点での計上に変更)を行ったことによるところが大きい。ちなみに、もし従来基準で第1四半期の決算を行った場合には、売上高は491億円(前年同期比1.2%増)、営業利益30億9000万円(同47.3%増)と、微増収ながら大幅増益を確保することになったと試算できる。

 従来基準で大幅増益となったのは、利益率の高いサポート事業の売上高が拡大したことに加えて、5000万円以上の大型案件について「プロジェクトマネジメント室」を設置するなどして、採算の改善に務めたためだ。

 第2四半期以降についても、採算を重視する戦略を強化していることから、利益率の低い案件は少ないと考えられる。また、通信・放送向けを中心に受注が回復していることから、順調な推移になることが予想されている。さらに、2005年3月期の通期連結業績予想の売上高2750億円(前期比3%増)、営業利益196億円(同13%増)、経常利益196億円(同13%増)、純利益100億円(同2%増)については、下期偏重の予想のため目標達成が難しいのではないかという厳しい見方が一部にあるものの、主力部門である通信・放送向けを中心に、投資拡大に伴う受注が予想されることや、プロジェクト管理の体制整備の効果が顕在化しはじめていること、さらには原価の一元管理や販売費抑制効果が寄与してくることなどから、会社側予想は十分クリアできるものと予想されている。

 CTCの株価は7月2日に4730円の高値をつけて以降、IT関連銘柄の全般下落局面のなかで一貫して下落トレンドをたどり、8月4日の株価は3740円と、約1カ月間に20%もの下落率となっていた。しかし、4日の第1四半期連結決算の発表を受けて翌日の5日から株価は反発、全般相場が大幅安となる軟調地合のなか逆行高で5日、6日と連騰、6日には一時14.7%の上昇率となる4290円にまで値上がりした。PERは26倍台と、いぜんとして割高感はない。中期的には、7月2日につけた直近高値の4730円を超えて、5000円台を目指す展開も十分期待できそうだ。

8月13日・17日の「株価の真相」はお休みとなります。次回は20日に掲載予定です。

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