前人気上々、8月新規上場テンアートニの実力

 東証1部市場をはじめ株式相場全般に一段と調整色が強まるなか、唯一堅調な株価推移を維持しているのは新規上場銘柄だ。なかでも、久しぶりの純粋IT関連銘柄として上々の前人気を集めているのがテンアートニだ。その実力を探った。

 8月5日に東証マザーズに新規上場するテンアートニは、Java、Linux関連の製品開発および企業情報システムの構築を主な事業としている。Linuxは、コストパフォーマンスと開発性に優れ、企業の生産性向上を実現できるといわれているが、その反面、リスクとして導入後の検証ができない、サポートがないなどの点が挙げられ、それをテンアートニがカバーする形で製品化し、販売している。

 「97年の設立から一貫してLinux関連事業に取り組み、実績、ノウハウの蓄積に強みがある」(テンアートニ代表取締役社長 喜多伸夫氏)というだけあって、業界内での信頼度は非常に高い。2003年に大手Linuxソリューション会社レッドハットとパートナー契約を締結し、さらなる事業拡大を図っている。現時点でのLinux関連の売上の全体に対する構成比は約60%となっている。

 一方、Javaはインターネットの中核となっているウェブシステムの開発言語で、他の言語との親和性の高さから普及が進んでいる。同社はJavaを利用したソフトやシステムでも実績を積み重ね、さらに拡大が見込める状況にある。Java関連の売上構成比は約40%。「将来的にはオープンソース時代のリーディングカンパニーを目指す」(喜多氏)としており、将来的な成長余力はかなり大きなものがありそうだ。なお、親会社の大塚商会(現在57.38%の株式を保有)は同社製品の販売を手掛けており、テンアートニにとって大塚商会経由の売上高は全体の約28%を占めている。

 現在進行中の2004年12月期の業績(単独)は、売上高33億9700万円(前期比30%増)、経常利益2億1500万円(同37%増)、純利益2億9100万円(同28%増)と、30%を上回る増収増益という好調な推移が見込まれている。また、1株あたりの利益も、前期実績の6338.5円から7948.8円へと大幅に向上する見通しとなっている。

 有価証券届出書提出時における想定仮条件は、1株当たりの株価19万円〜23万円(平均価格21万円)となっている。平均の21万円で試算した今期のPER(株価収益率)は26倍と順当な水準だ。今後、新規上場に伴う公募・売り出しの仮条件の価格も、この水準に近いゾーンで決まるものと予想される。

 公開後の株価推移について外国証券のアナリストは「公開価格が20万円台に決まれば、本格的なIT関連銘柄という人気のプレミアムも予想されることから、初値は50万以上という高い水準に達する可能性もある。しかし、このところ新興市場の相場人気もかなり下降傾向をみせはじめており、上場日の8月5日現在の相場環境が極端に悪化している場合は、初値はおとなしいスタートとなるケースもあり得る」としている。

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