楽天の積極買収戦略に株式市場では強弱感対立

 積極的な買収戦略で2004年12月期の第1四半期(1〜3月)で大幅増益を達成した楽天だが、今後の株価の動向については強弱感が対立している。4月半ばには一時、株価が100万円に接近し、時価総額でも1兆円を突破した楽天の今後の株価の行方を探った。

 楽天は5月13日に、2004年12月期の第1四半期(1〜3月)の連結決算を発表した。売上高は97億9000万円(前年同期比2.7倍)、営業利益33億3200万円(同4.9倍)、経常利益35億600万円(同4.7倍)、純利益4億1600万円(4.2倍)と、大幅な増収増益を達成した。

 部門別にみると、EC事業の売上高は42億2500万円(前年同期比80.1%増)と大幅な伸びをみせた。主力の仮想商店街「楽天市場」の運営を中心に流通総額が引き続き堅調に推移したほか、楽天ブックスを連結対象子会社としたことも寄与した。ポータル・メディア事業の売上高は、13億3500万円(同12.4%増)。2003年9月に実施したインフォシーク・ジャパンおよびライコス・ジャパンといったポータルサイトの買収が下支え要因となった。さらに、宿泊予約サイト「旅の窓口」を中核とするトラベル・エンターテイメント事業は、売上高13億7500万円(同4.3倍増)と飛躍的な伸びをみせた。

 そして今回利益面で早くも大きな貢献を果たしたのが、金融部門のDLJディレクトSFG証券だった。この金融部門の第1四半期の営業利益は12億1400万円に達しており、全体の営業利益の36%を稼ぎ出している勘定だ。DLJ証券は、昨年11月26日付けで楽天が子会社化したもので、今回の第1四半期の決算で初めて連結業績に反映されたことになる。DLJ証券の業績は、株式相場の予想以上の活況ぶりを反映して高水準の利益を計上した。

 準大手証券の株式情報部では、「もともとDLJは、ネット証券のなかでも独自の迅速な売買システムなどにより、デイトレーダーなど個人投資家のなかでもプロかそれに近い人達から支持されていた。今回、7月4日付けで“楽天証券”に社名を変更することで、初心者も含めたより一般的な幅広いネット投資家の獲得を目指しているのではないのか」としている。

 今後の楽天の株価動向については、国内大手証券のアナリストが「トラベル関連事業に続いて証券会社などの金融事業にも進出を果たし、そのそれぞれが早くも利益面で貢献しはじめている。今年の後半に入って、来期の業績予想の輪郭がはっきりしてくれば、株価100万円突破は十分期待できそうだ」としている。

 しかし、一方で外国証券のアナリストからは「今回のDLJの利益面での大きな寄与は、株式相場の活況という強烈な追い風に支えられた偶然の要素が強い。楽天の株価は現在の70万円台でもすでに、今期連結予想PER(株価収益率)で100倍を大きく超えている。今後多方面で競争が激化することを考慮すると、現在の株価70万円台を維持するのはかなり難しいのではないのか」との意見もあり、強弱感が真っ向から対立している。

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