業績好調でも株価が下落するKDDI、その理由は?

 一見すると絶好調と表現してもいいほどの9月中間決算を発表したKDDI。しかし、なぜか株価は10月14日の年初来高値67万5000円から下落歩調をたどり、先週末の7日には一時55万5000円の安値をつけている。下期の業績についても好調持続との見方が一般的で、業績再上方修正説も取り沙汰されているなかでの株価下落だけに、首を傾げる市場関係者も多い。

 KDDIの9月中間期の連結決算は、売上高で前年同期比0.5%減の1兆3866億円と減収となったものの、営業利益は同2.6倍増の1582億円、経常利益は同3.5倍増の1482億円、純利益は同4.2倍増の859億円と大幅増益を達成した。

 利益が大幅増益となった主な要因は、携帯電話加入者の順調な拡大と、ARPU(1人当たりの売上高)の高止まりを背景とした携帯事業auの好調継続にある。なかでも注目されるのは、ARPUのトレンドだ。同社の上半期のARPUは7510円であり、前年下期比でほぼ横ばいの状態。また四半期ベースで見ても、第2四半期のARPUは7540円で、前年下期比とほぼ変わらないが、第1四半期の7480円を上回る水準を達成している。

 さらに、同社は今期通期のARPUの想定を従来の7140円から7320円に引き上げている。ただし、この通期の想定額によると下期のARPUは7140円となり、上期比で370円の下落を見込んでいることになる。しかしこの見通しはかなり控えめなもので、実際には下期の落ち込みは小幅に止まり、今期通期のARPUは7400円を上回ることになりそうだ。これが今期の業績再上方修正説の根拠ともなっている。

 しかし、株価は10月14日の年初来高値67万5000円から下落歩調をたどり、先週末の7日には一時55万5000円の安値をつける下落ぶりをみせている。こうした株価の調整について準大手証券の投資調査部では「KDDIはすでに10月7日に、9月中間期の業績について上方修正を公表していた。株価はすでにこうした上方修正を織り込んで、10月1日の56万3000円から10月14日の67万5000円まで短期間にほぼ20%もの上昇をみせている。したがって、業績の上方修正が“材料出尽くし”と受け止められ、好調な中間決算が発表されても株価は下落傾向を強めたようだ」としている。

 さらにKDDIにとって懸念材料となっているのが、固定電話部門での採算の悪化だ。固定電話部門は、IP電話へのシフトなどもあり、下期以降も業績全体の足を引っ張ることになりそうだ。

 KDDIの株価は、業績の好調を背景に10月初めからわずか半月で20%もの上昇をみせたものの、その後は下落トレンドとなり現在は“往って来い”の状態となっている。10月14日の年初来高値は、今期の好調な業績推移をかなり織り込んだものとみられる。ただ、現在の株価である55万円の水準に割高感はない。したがって今後は当面60万円台でのボックス相場で推移する可能性が高そうだ。

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