モバイル衛星放送の発展で恩恵を受ける電機メーカーは?

 衛星放送であるにもかかわらず、パラボラアンテナを必要としない「モバイル衛星放送」が、将来巨大ビジネスに発展する可能性のある事業分野として株式市場でも関心を集めている。具体的にどういった企業にメリットが波及するのかを探った。

 ここ十数年間の携帯電話の猛烈な普及やハード・ソフト両面での飛躍的な高機能化は、誰も予想できなかったほど急ピッチで進行した。携帯電話はすでに、総合情報端末機としてさらなる高機能化が加速している。

 こうした携帯端末向けコンテンツのひとつとして注目を集めているのが、モバイル衛星放送だ。これは2004年春から開始される予定の放送衛星を利用して、全国に電波を飛ばすマルチメディア放送サービス。今まで不可能だった屋外や車、電車などでの移動中の時間帯にも複数チャンネルで高品質の映像や音楽といった番組が受信できるのが特徴だ。

 衛星から2.6GHzの周波数帯の電波を使用しており、専用の携帯端末や車載用端末といったモバイル端末で、新幹線や自動車など高速移動中も受信できる。また、衛星の電波を「ギャップフィラー」(GF)と呼ばれるアンテナで中継するため、ビル影や屋内でも受信が可能だ。カーナビなど車載端末と接続したり、PDAや携帯電話などと一体化させることによって、いつでもどこでも放送を視聴することができるという。

 一部市場関係者からは「移動しながらでも映像を視聴したいというニーズがどの程度あるか不透明」という悲観的な見方もあるが、携帯電話の黎明期にも同様の論調が根強かったことを考えると、前向きな見方に分がありそうだ。

 モバイル衛星放送サービスを運営するのは、東芝が主体となりトヨタ自動車、富士通、日本テレビ、松下電器、電通など現在71社の企業が出資している「モバイル放送」だ。 今後のインフラ整備で最も注目されるのが、今年10月に打ち上げ予定されている専用衛星。現在はこの衛星の打ち上げを前にして、電波を直接受信できない地域などに向けて電波の再送信の機能を果たすギャップフィラーの設置を進めている。

 番組のジャンルはニュース、スポーツ、映画、バラエティ、音楽番組、通信教育、ゲーム配信など多岐にわたるという。チャンネル数は未定で、電波をどう分割するかにもよるが、映像チャンネルなら10チャンネルくらい、音楽だけなら約60チャンネル程度用意できるという。

 具体的には、放送受信用端末では東芝が中心となる見通し。ギャップフィラーでは横河電機、マスプロ電工、日立国際電気、電気興業。車載用アンテナでは、原田工業、ヨコオなどにもビジネスチャンスが広がりそうだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]