システム・テクノロジー・アイ、新規公開後数カ月で上場廃止の危機に

 昨年12月13日東証マザーズに新規公開したばかりのIT関連ベンチャー企業、システム・テクノロジー・アイが、予想外の株価大幅下落のあおりを受けて、公開後わずか3カ月半で上場廃止の危機に立たされている。

 システム・テクノロジー・アイは、ITエンジニア向けEラーニング学習ソフトを開発する企業で、オラクル向け製品の依存度が高い。上場日の12月13日の株価は、公開価格と同値の18万5000円でのスタートとなった。ところが、今年に入ってIT関連株全般の大幅な下落加速という深刻な相場環境のなかで、同社の株価も新規公開後ほぼ一貫して下げ続け、3月に入ると10万円の大台を大きく割り込む状態に追いこまれていた。

 こうした株価の急速な下落に伴って東証は4月2日、システム・テクノロジー・アイの株式が時価総額5億円を下回り続けると、上場廃止となる時価総額基準に抵触する恐れがあると発表した。この東証の発表を受けて同社の株価は急落し一時6万円を割り込んだ。

 この発表は、昨年11月に廃止基準が強化されたことに伴ってなされたもので、東証では「事業の現状、今後の展開、事業計画の改善その他当取引所が必要と認める事項を記載した書面」を提出した場合は今年の4月1日から12月31日までの期間において、提出しなかった場合は同4月1日から6月30日までの期間において、毎月の月間平均上場時価総額及び月末上場時価総額が5億円以上とならない場合は上場廃止にするとしている。これに対してシステム・テクノロジー・アイでは「上場維持が大前提。本業での業績の回復で株価を上昇させるのが基本だが、それと同時に(時価総額をクリアするために)増資などあらゆる方法を検討していく」(IR担当)としている。

デザインエクスチェンジらも危機に直面

 この新規公開後3カ月半という短期間で上場廃止の危機に立たされたことについて準大手証券の投資情報部では「最大の要因は上場後の株価が予想外に急落したことにあるが、株価の下落は当該会社だけに非があるとも言い切れない」としている。「すでにマザーズは、デザインエクスチェンジ、日本コンピュータグラフィックの2社に対し上場廃止の恐れを指摘している。IT関連の新興企業全般の株価が大きく下落していること考えると、今後第2、第3のシステム・テクノロジー・アイが出てくる可能性は極めて高い。時価総額をはじめとして上場廃止基準に十分な余裕を持たないままで公開を勧める幹事証券や、公開を認める東証自体にも責任があることは否定できない。時価総額不足による上場廃止が頻発するようであれば、単にマザーズだけでなく、他の新興市場や1部、2部の市場の信頼性をも大きく損なうことになる」

 マザーズのみならず、実は東証1・2部の上場廃止基準にもこの4月から「時価総額10億円」という新たなハードルが設定された。直近1カ月間の日々の終値で算出した平均時価総額か、月末の時価総額のいずれかが10億円未満になると「要注意」と判断され、その後一定期間に10億円を超えない場合は上場廃止となる。そして恐ろしいことに、3月末の時点でこの「要注意」の基準に抵触する東証上場企業は20社以上となっているのだ。東証は、5月以降の毎月初めに前月の「要注意」銘柄を公表することになる。投資家としては、業績や株価水準だけでなく、その時価総額にも十分注意を払っていかなければならない。

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