暗雲漂う「IT839」戦略--鳴り物入りでスタートした計画に何が・・・(後編) - (page 2)

 収益モデル不在による収益性悪化は、地上波DMB技術の海外進出にも否定的な影響を与える可能性がある。T-DMB(地上波DMB)の世界拡散を目論み、DVB-Hなど他の規格と競う構えの韓国としては、国内活性化はやはり必須なのだ。

風前の灯、テレマティクス

 自動車向けの次世代情報提供サービスであるテレマティクスは、韓国南部に位置する済州島を試験都市として、試験サービスなどが実際に行われた。100億ウォンもの投資を行って、720台以上のレンタカーに専用端末を搭載しての、大々的なサービスが行われたものの、現在はこのサービスが終了してしまった状態だ。

 以降、済州島は追加投資を要請するもののこれが受け入れられず、この事業を民間企業に委託することとなった。それ以降はこれといった成果報告などはなく、消える寸前のような状態になっている。

 このようにいくつかの例を挙げてみただけでは、u-IT839全体が必ずしも成果がないとはいえない面も確かにある。しかし最初のピョン・ジェイル氏の話の核心は、技術を開発しさえすれば、あとは市場がついてくるというものではない、ということだ。情報通信部が提示したように、技術特許数に比例して市場規模が右肩上がりになるほど市場は単純なものではなく、技術開発はあくまでスタート地点に過ぎないのだ。

 上記に挙げた例ではいずれも、技術面の立ち遅れというよりサービスの運営面や、関連企業による推進体制がうまくいっていないことに起因しているものだ。8大サービス、3大インフラ、9大成長動力という3つの分野に属する技術同士を有機的に結びつけ、利益がでるような循環を作れるかが、u-IT839の成功ポイントとなりそうだ。

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