通信・放送融合サービスで泣く会社、笑う会社

 IPTVやDMB(韓国でサービスされている、モバイル用デジタル放送)は、韓国で「通信と放送が融合した次世代サービス」として、かねてより期待の高かった分野だ。双方鳴り物入りでサービスが開始されて以来、まだ1〜2年半程度しか経っていないが、次第に企業の明暗が浮き彫りになってき始めた。

IPTV“HanaTV”で1位についたHanaro Telecom

 通信事業者のHanaro Telecomは、自社のIPTVサービス「HanaTV」の加入者数が、60万人を超えたと発表した。これは通信事業者としては韓国最大のKTによるIPTVサービス「MegaTV」の加入者数である約21万人を大きく引き離している数値だ。

 9月末時点におけるKT、Hanaro Telecom、それぞれのブロードバンドサービス加入者数は約650万人と、約370万人。それぞれのIPTVサービスで提供しているコンテンツ数は、KTが約6万件、Hanaro Telecomが約1万件だ。

 KTが優勢に見えるのになぜ、Hanaro TVの方がIPTV加入者が多いのか?その理由は割と簡単で、2007年9月初旬に全国サービスを開始したMegaTVより、ずっと以前の2006年7月にHanaTVはサービスを開始していたからである。ちなみにMegaTVは全国サービスを開始するまでは、2006年7月からソウルやその周辺地域のみを対象としたブロードバンド加入者に限り、視聴が可能となっていた。

 しかしHanaTV成功の理由についてHanaro Telecom側が強調しているのは、自社のブロードバンド利用者だけしか加入できないMegaTVに対して、HanaTVは誰でも加入が可能な点だ。つまりMegaTVはKTのブロードバンドサービス加入者しか見られないようになっている一方、HanaTVではたとえKTのブロードバンド加入者でも視聴が可能なのだ。

 数百世帯が同時に入居する高層アパートに、特定企業のブロードバンド網を最初から組み込むため、途中で他社ブロードバンドサービスに変更できない場合もある韓国において、HanaTVがとった方法は、「IPTVを見たくても見られない」ユーザーのニーズに応えたものといえる。逆にブロードバンド加入者数で1位のKTに、大きな差をつけられているHanaro Telecomとしては、こうした方法でHanaTVの加入者を増やさざるを得なかったのかもしれない。

 Hanaro Telecomでは今コンテンツ充実に注力しており、11月からは位置基盤情報サービス(LBS)コンテンツを提供開始し、IPTVで地域情報や、今日中地域周辺の店からの買い物、広告などの事業を展開する予定だ。GPSを利用した迷子探しもスタートするなど、エンターテイメント寄りだったサービス内容に、実用性も付加してさらなる市場拡大に臨もうとしている。

赤字拡大する韓国版モバイル放送

 一方、衛星DMB(日本で言うモバイル放送)運営を行う企業であるTU Mediaが、まさに泣きたいような心情を、公に向けて吐露した。

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