ケーブル陣営 対 衛星陣営の「アンテナ戦争」勃発

 衛星放送を見るには普通、自宅のベランダなどにパラボラアンテナを設置するものだ。しかし韓国政府が最近、集合住宅ごとに共同アンテナを設置する動きを見せている。便利になって良かったと思いきや、これが大きな議論となりデモまで起きる事態となっている。

 2007年9月、韓国政府の情報通信部は、「テレビジョン共同視聴アンテナ施設等の設置基準に関する規則(MATV規則)」を改定、新規に建てられる集合住宅にSMATVを設置して衛星放送の受信を効率的にしようとする方針を発表した。

 「SMATV(Satellite Master Antenna TV)」とは、地上波テレビ用の共同アンテナ「MATV」に、パラボラアンテナを接続した設備だ。高層アパートをはじめとした集合住宅にSMATVを設置すれば、各部屋ごとにパラボラアンテナを設置する必要がなくなり、衛星放送が手軽に視聴できるようになる。

 情報通信部によると「これまでのように世帯別にパラボラアンテナを設置すれば、建物の美観が損なわれ安全性にも問題があった。部屋にベランダがない場合は設置自体ができなかった」という。SMATVが設置されれば、こうした問題が一気に解決する。

 しかしこれに強力に反対する人たちがいる。ケーブルテレビ業界だ。

 パラボラアンテナなしに衛星放送が見られるようになれば、韓国唯一の衛星放送会社であるSkyLifeが勢いづく。その勢いでSkyLifeが団体契約による受信料の大幅割引などを行ったりしたら、ケーブルテレビにとっては大きな打撃となる。しかもSkyLifeの大株主は、韓国最大の通信会社であるKTだ。

本当の敵はKT

 韓国では2007年7月から、市場占有率が高い事業者でも情報通信商品の「結合販売」が可能となった。結合販売とはたとえば携帯電話事業者であるKTFの携帯電話と、KTのブロードバンドなどをまとめて契約すれば割引料金で利用できるという、いわゆるセット販売だ。

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