米国の教科書にも載った韓国サイワールド--その強さとは - (page 2)

佐々木 朋美2007年03月05日 11時10分

 Cyworldの強さを支えているのは、次々更新され変化し続ける独自サービスと、他のサービスとの連携による総合的なサービス形態にもあるかもしれない。Cyworldは当初、それ自体が大変新しくユニークなサービスだったが、画期的なサービスを作り出して、どこより早く導入しようとする姿勢は今でも変わらない。

 これまでにも、企業・団体用Cyworld「Town」や親しい仲間による口コミで商品を評価・購入できる「Cyマーケット」、提携カラオケ店で自分の歌声を録音し、ミニホームページのBGMとしてCyworldにデータ転送できる「カラオケ」など、コミュニティ機能や他社との連携を活かした多くの新しいサービスを発表してきた。

 そして最近は「Cyworld 2」と呼ばれる次世代サービスを発表している。

 Cyworld 2の大きな特徴は一言で、自由であることだ。会員は「ホーム」というスペースを与えられ、ここでミニホームページはもちろん同好会サービスの「クラブ」、掲示板、ショッピングなど、これまではCyworld内で別物として提供されてきたサービスを一括管理できるようになる。ホームでどのサービスを管理するかは、ユーザーが好みで調整できる。たとえば「ミニホームページと掲示板は使うが、クラブは今のところ使わない」という場合は、使う項目のみを表示設定にしておけるのだ。後にクラブを使うようになれば、また表示設定を変えることもできる。

 また時計やカレンダー、アバターを配置する部屋である「ミニルーム」などのウィジェットプログラムも提供されており、これをホーム上の好みの位置に配置することも可能だ。今後このウィジェットプログラムはAPIが公開される予定で、これによりユーザー自作によるウィジェットが登場すれば、これらを交換できるサービスも提供していくという。

 Cyoworld 2は現在、約3000人のモニターを対象とした試験サービス中であり、3月中には正式サービスがオープンする予定。日本を始めとした海外でのサービスについてはまだ未定とのことだ。


ユーザーの個性が色濃く反映されるCyworld 2の「ホーム」

 ところでCyworldは、単体ではなく常に他のサービスとの連携により発展してきたサービスだといえる。検索ポータルの「NATE」、メッセンジャーソフトの「NATE ON」なども提供し、韓国最大手の携帯電話事業者であるSK Telecomがグループ企業の1つであるSKCでは、常にこれらのサービスとCyworldとを連動させ、総合的な利用を促してきた。SKCの視野は常に包括的なのだ。

 たとえばCyworldに携帯電話で閲覧や書き込みができたり、NATE ONの利用中、自分のCyworldに書き込みがあると知らせてくれるなどの連動サービスは代表的な例だ。

 そしてさらに強力な連動サービスを提供するためSKCは、2006年10月に中堅の検索ポータル「emaps」を買収すると同時に、empasの検索エンジンやマルチメディア管理ソリューションを開発しているKONAN TECHNOLOGYの持分29.5%を、empasとともに買い取った。今後はこれらの企業の技術を活かして、SNSや動画、検索などが連動したより総合的なサービスの構築を行っているところだ。

 Cyworldは今後、韓国では会員数のさらなる増加よりそれを維持し参加率を上げていくこと、日本・米国・中国・台湾と世界進出した国にもサービスを定着させることなどが課題となってくるだろう。SKCでもそれは重々承知であり、そのためのユニークで新しいサービスを国内外で打って出てくるに違いない。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]