巨人Naverの日本再上陸作戦--新兵器“韓国のGoogle”とは・・・

佐々木 朋美2006年08月04日 20時10分

 韓国において検索といえば真っ先に挙がる名が、「Google」でも「Yahoo!」でもない「Naver」だ。Naverのトップページを表示すると、ロゴの脇に「検索NO.1」の文字が添えられているのだが、実際には「検索」というジャンルを超え、韓国のウェブサイト中、No.1を誇ると言って良いほどNaverの支持率は絶大だ。

 インターネット調査会社のMetrixが、2006年5月時点における韓国主要サイトの到達率(サンプリングされた全インターネット利用者中、特定サイトを利用するユニークユーザー数)を比較した結果によると、93.4%のNaverが、2位で到達率87.1%の「Daum」を約6%引き離し文句なしの1位を勝ち取っている。

 そんな韓国最大のポータルサイトのNaverを運営する“巨人”NHNが、今回また売り上げ記録を伸ばした。

 NHNの第2四半期の売上額1329億ウォン中、検索広告の売り上げは681億ウォンで51%を占め、相変わらず主要な収益源であることが明らかとなった。

 ゲームは285億ウォンで22%、バナー広告の売り上げは246億ウォンで19%、EC(電子商取引)の売り上げは91億ウォンで7%という比重になっていることが明らかとなった。またその他の売り上げは24億ウォンで1%を占めていた。さらに営業利益は506億ウォン、純利益は324億ウォンとなる。

 これは2005年同期比では売上額59.9%、営業利益が65.1%上昇し、第1四半期比では売上高が9.1%、営業利益が8.6%上昇した数値だ。

 四半期別では、最大の売上額を記録したこととなる。これに伴いNHNは年間の売り上げ目標を、5400ウォン、営業利益も2050億ウォンとして、それぞれ6%、8%ずつ上方修正したことを明らかにした。

 溢れんばかりの売上金を抱えたNHNが次に狙うのは海外市場だ。同社は2006年下半期に、日本・米国・中国市場へ新作ゲームを相次いで発表すると宣言している。

 さらに検索サービスでは日本へ目が向けられている。NHNは2000年に日本市場に進出したものの、目玉サービスの一つだったNaverは韓国のように人気が振るわず、現在はサービスが停止している状態だ。しかしこれは「完全な撤退」ではなく「体力補強期間」に過ぎなかったようで、再度の日本市場挑戦を宣言している。

 その際の武器となるのが、NHNが2006年6月に350億ウォンで買収した、「韓国のGoogle」こと「1noon(チョッヌン)」だ。

 「1noon」は、日本にも進出しコミュニティやゲームなどを提供しているNeoWizが、検索エンジンの構築を目的に先鋭人員を集めて2005年5月に設立した企業で、同名の検索エンジンを提供していた。

 サービス内容は検索のみとシンプルではあるものの、その検索機能の新しさが際立つ。例えば「ピカソ」と入力すると、Naverでは「Webページ」「ブログ」「最新ニュース」といった掲載形態別に検索結果が分けて表示される。

 しかし1noonでは、ピカソ公式サイトなどのWebサイトを提示するだけでなく、「ゲルニカ」「ピカソ展示会」「ピカソとシャガール」「龍山(という場所にあるピカソと名のつく店舗)」といった多彩な関連テーマ別に、膨大な情報を最新順に整理して表示してくれるのだ。

 1noonの検索技法は、独自開発された「スノーランク」(韓国語で「noon」は「雪」の意味)というものだ。スノーランクは「重複した情報に価値がある」という視点から、多く利用され重複している情報をインターネット全体から探し出して、ブログや掲示板などの掲載形態別ではなくテーマ別で整理し、最新順に表示するという検索アルゴリズムだ。

 これによりNaverに1つのキーワードを入力して探すより、多彩で多様な検索結果が出てくることとなる。このような1noonの創造的で新しい検索機能は正式サービス前からネチズンの間でも定評で、「韓国のGoogle」としての名を高めていた。

 1noonで検索力を増強した韓国の“巨人"が、日本へ再上陸するのは2007年前半と見られている。日本で1noonのお手並みを拝見できるのが楽しみだ。

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