Web 2.0の挑戦者:ウェブ上の情報の断片を「クリップ」で整理して共有できるClipmarks - (page 2)

文:Emily Chang 翻訳校正:吉井美有2006年08月29日 08時00分

あなたの設計哲学は何ですか。

 これについては、Adamに応えてもらいましょう。おそらく彼は「認知的抵抗」について話すだろうと思いますが……。以下は、Adamからです。

 認知的抵抗という言葉はなるべく使わないようにしましょう(笑)。これは言い換えれば、欲しいものを得ようとする際に、ユーザーが迷ったり、時間がかかったり、やめてしまったりするようなインターフェース上の欠点をなくそうとしている、ということです。

 このように、われわれはすべてを目に楽しいものにしようとしているわけですが、その設計上の選択は「ユーザーが欲している情報や行動に対して形や色、ダイアログやその他の構成要素をいかに活用するか」という観点から行っています。情報のデザインとグラフィックデザインの密接な統合が、われわれの設計哲学の中心となるものです。

どのようなテクノロジを使用しているのですか。

 これについてはDerekとEric Wに答えてもらいましょう。

 このサイトで使われている中心的な技術はAjax(Adaptive Pathが1年弱前に作った頭字語で、Asyncronous JavaScript and XMLから作られた語)です。高度なJavaScriptとDHTML(JavaScriptとCSSの相互作用)で作られたウェブページ上で、データはXMLリクエストを通じて送られ、処理されます。XMLはこのサイトの中心で、バックエンドがフロントエンドとやりとりをする手段であり、サイト外にデータを配信する手段でもあります(RSSはXMLの一種です)。われわれが手を加えたRSSであるRSS 2.0 Cliprollは、RSSとJavaScriptを使っています。印刷機能にはJavaScriptの拡張を使っています。ナビゲーターはXMLリクエストを通じてサーバとデータをやり取りする機能を持ち、瞬時に反応します。従来のようにページ全体を送ったりすることがないため、ユーザーはページのロードや再読み込みを待つ必要がありません。これは本物の双方向コミュニケーションです。

 Ajaxを用いることで非同期通信が可能となり、コミュニケーションが双方向で非常に高速になります。必要なデータだけがやり取りされます。JavaScriptがDOMを操作し、CSS(Cascading Style Sheet)と相互作用することによって、ウェブページが生きているアプリケーションであるかのように見せます。CSSとJavaScriptの相互作用(DHTMLとも呼ばれるもの)は、ユーザーのアクションに反応して動作する効果をウェブアプリケーション上に実現します。デスクトップのアプリケーション同様に動作するわけです。

 技術的には、Clipmarksはどちらかというと完全に機能し、かつ常に進化する遠隔データベースアプリケーションを指向しており、これは仲間のユーザーのデータ(クリップマークやタグ)やユーザー相互間の活動(コメントや評点)と密接に連携しています。Clipmarksは新しく出てきた技術に大きく依存しているため、すべてのメソッドをサポートしているブラウザはIE 5.5以上あるいはFirefox 1.0以上だけです。Safariはあと少しと言うところですし、SafariとOperaを完全にサポートするバージョンを近々出したいと思っています。また、われわれの新しいインターフェースはXMLに基づいており、プロプラエタリな技術は利用していません。近々われわれのAPIを公開し、他の方にもClipmarksを利用したり強化したりしていただきたいと考えています。

ユーザーやコミュニティから最もリクエストの多い機能は何ですか。

 いつも聞かれることがいくつかあります。第1の要望は、グループを作り、Clipmarksをパブリックに設定せずに友人や仕事仲間、趣味仲間などの間だけで共有したいというものです。これについてはよくわかりますし、すぐに何かをしたいと考えています。また、Clipmarksの情報をアーカイブする目的でローカルに保存したいという話もよく聞きます。今週、われわれはこの方向に一歩踏み出し、Clipmarksのレイアウトをプリンタ出力に対応させ、簡単にPDFに変換できるようにしました。

Clipmarksのユーザーは一部の地域に集中していますか、それとも広く分散していますか。

 われわれのユーザーは非常に広く分散しています。たくさんの言語でClipmarksが利用されていることがわかっています。これは、ウェブが世界中の人々にさまざまな理由で使われているのと同じで、情報をクリップしたいというニーズも一般的なものだということでしょう。これについて、われわれは非常にわくわくしています。

半年後、あるいは2年後に、Clipmarksはどうなっていると思いますか。

 次の6カ月間で、Clipmarksのソフトウェアとサイトに大幅な改良を加えたいと考えています。われわれがこれまでに達成してきたことは気に入っていますし、誇りにも思っていますが、正直に言ってClipmarksはずっとよくなると思いますし、よくするつもりです。次の2年間を考えると、Clipmarksを検索のためのブックエンドにしたいと思いますね。現在、オンラインで行われていることは、主に検索と閲覧です。しかし、検索して閲覧したものをどうしたらいいのでしょう。わたしは、Clipmarksがその答えになるだろうと期待しています。みなさんが「Google=検索」と考えるように、「Clipmarks」=発見と思ってもらえるようになるといいですね。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]