--なるほど。ところで関連性と言えば、情報過多も問題になりませんか。検索語に対してヒットする項目が、あまりに多すぎると、なかなか自分が欲しい情報が見つかりません。よくある人名で検索して、目的の人物を探す場合も同じです。
Pedersen:そういった問題を解決するには、補助的なキーワードを添えるのが一般的ですが、検索サービス側から提示できるソリューションの1つとして、クラスタリングという考え方があります。
米国では「Clusty.com」というサービスが、こうした検索サービスを提供しています。これは検索結果を、カテゴリごとに分類して提示するというものです。質問にあったようなケースでは、有益な方法だと思いますが、今のところこの方法を採用している企業はあまりありませんね。
井上:次世代の検索サービス、つまり第3世代検索サービスとは、パーソナライズド検索になると思いますか。
Pedersen:確かにパーソナライズド検索は検索の世界に新しい次元を切り開くとは思います。私はそういうことと並行して、「情報の共有」も重要になってくると思います。同僚や家族、友達といった信頼する筋からの情報です。例えば、「このあたりで、どこか犬の散歩にいい場所は」といった疑問では、機械的に見つけてきた情報よりも、そういった信頼できる知り合いの情報の方が価値が高いと思います。
井上:それは検索とは違うサービスになりますか。
Pedersen:情報を探して、その結果を得るという行為が絡んでいれば、どんなものでも検索だと思っています。まあ、しいて言えば「Knowledge Search(知識検索)」の一種でしょうか。
井上:知識検索というと、アジアの方が先行しており、アメリカではサービスが遅れている印象がありますが。
Pedersen:その意見には必ずしも同意できません。確かに韓国などでは知識検索がかなり大きくなってきています。しかし、知識検索には2種類あると思います。1つは知識コンテンツの検索、もう1つはコミュニティを通じた情報の共有――つまり、誰かが質問して、誰かが答える、というものです。
韓国ではブロードバンドが普及していて、インターネット利用者の率はたしかに高いのですが、同じ言語を話す人口も限られています。そのためネット上のコンテンツの量はそれほど多くありません。そのため、コミュニティを活用した情報の共有といったものが主体になり、知識検索が進んでいるのではないでしょうか。
この一方で、英語圏ではネット上のコンテンツそのものが豊富にあり、通常の検索をするだけで、ほとんどの情報が手に入ります。これによって逆にコミュニティ型の知識検索の必要性が薄らいでいるということはあると思います。
井上:今日の検索は、ウェブページの制作者が提供する情報だけに頼っていますが、検索しているユーザーからの情報を検索結果に反映するというやり方もありますよね。
Pedersen:確かにそうですね。我々は今のところ、そうした情報を反映させてはいませんが、ユーザーがそのページにどういうキーワードでたどり着いたかといった情報は、そのページを評価する上で非常に重要なデータになりえると思います。しかし、そういった検索サービスを提供する場合に怖いのはSPAMです。やろうと思えばロボットを使って、いくらでも検索結果に影響を与えられる可能性があります。
今日の検索サービスは、あまりに商業的価値が高くなりすぎたため、常にSPAMや恣意的な操作にも気を配らねばなりません。もっとも、写真管理、共有サービスの「Flickr」で採用されているタグ情報のようなうまいやり方はあると思います。ユーザーからのフィードバックの反映も第3世代検索サービスの重要な特徴の1つになると考えています。
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