人気の出ない中国「愛国者」のデジタルカメラ--今までとこれから

 中国で著名なIT系ニュースサイトで、CNET中国グループが運営する「中関村在線」が、愛国者のデジタルカメラ製品の今までとこれからについて分析する記事を掲載した。

 愛国者は、日本でもIT系のメディアにおいて、頻度こそ少ないものの紹介されている。インパクトの高い名前であるがために、愛国者の報道が記憶にある読者もいるかもしれない。愛国者(英語名aigo)は実はブランド名で、これを提供する企業の正式名称は華旗資訊科技発展有限公司。あまりに長いので、中国のメディアは同社を華旗資訊、あるいは華旗と略している。

 華旗は1993年に北京の中関村(日本で言えば秋葉原とつくばが融合したような場所)に創設され、3年後の1996年に愛国者のブランドを立ち上げた。1999年より発売した2.5インチ外付けハードディスクやMP3プレーヤーの販売が好調だったことから、2002年にデジタルカメラ研究部署を設置してデジタルカメラ市場に参入した。この2002年というのは、デジタルカメラが売れ始めた時期で、愛国者だけでなく、家電メーカーやPCメーカー、玩具メーカーなどが同市場に参入している。翌2003年に華旗はデジタルカメラ部門を独立させ、さらに2004年には12の特許を取得し、3本のソフトを開発した。

 だが2002年より、中国におけるDVDやMP3やテレビの末路と同じように、多くの中国メーカーが低価格機種を大量に投入した結果、中国メーカー間で熾烈な価格競争が起きる。2004年にはデジタルカメラを扱っていたレノボ(聯想)やファウンダー(方正)が本業のPC業務に回帰するとしてデジタルカメラ事業から撤退。そのほか多くの中小企業が淘汰された。こうして華旗は中国企業の中でデジタルカメラ開発を行う唯一のメーカーとなった。

 その後も抗日記念800万画素デジタルカメラといった製品を中心に中国市場にリリースするが、2007年になって実は同社のデジタルカメラ部門が2003年より一貫して赤字を計上しており、2005年と2006年に至っては日本円にして10億円以上の赤字を記録していたことが判明した。同社はそれでも強気で、中国株式市場にデジタルカメラ部門のみを上場させ、調達した資金でデジタル一眼レフ製品をリリースするという強気のコメントを発表している。

 中関村在線では定期的に、同サイト利用者の間で人気のデジタルカメラメーカーを調査し、レポートしている。それによると愛国者の人気は2005年より徐々に上昇しているという。中国で愛国者の人気を遥かにしのぐメーカーは韓国のサムスン。サムスンは近年デジタル一眼レフ市場に参入したが、中関村在線の人気デジタル一眼レフカメラメーカーとして、中国で人気のはずのサムスンを選んだ利用者は実は僅か0.7%。残りの99.3%が日本メーカーとなっている。

 中国メディアの中関村在線ですら「サムスンですらこの有様だから、愛国者がデジタル一眼レフカメラをリリースすることは慎むべきだ」と、記事を締めくくっている。

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