著作権意識の向上となるか--信息网絡伝播権保護条例が施行される

 7月1日より信息网絡(情報ネットワーク)伝播権保護条例が施行された。この条例は2006年5月10日に、国会にあたる国務院の会議を通過した。前回の記事でもこの条例について触れたが、ちょっと触れるだけではもったいないほどに面白い。

 この条例を簡単に説明すると「インターネット上の著作権のある文章、音楽、映像などのコンテンツを勝手に利用してはならない」ということである。

 この条例の文章に関する規定をニュースサイトにあてはめて解釈すると「あるニュースサイトの記事を別のサイトで原文記事掲載者の許可なく(原文へのリンクではなく)全文公開してはならない。また許可された場合でも、原作者は必ず記載すること」ということになっている。

 実はこういったことは今まで日常茶飯事で行われてきた。ある中国のサイトのニュースのタイトルをコピー&ペーストして谷歌(Google中国)か百度(Baidu)で検索すると、同じニュースが一言一句違わず様々なサイトに掲載されているのがわかるだろう。原文で「弊社の特派員A氏が〜」といったくだりもそのまま「弊社の特派員A氏が〜」となる。10サイトに同じ記事が掲載されれば、A氏は10箇所のサイトの運営企業すべてに所属していることになる。

 話を戻して、この条例により音楽映像コンテンツについては「サービス提供者は利用者がコンテンツ保存しないように技術的な対処をしなくてはならない。技術的な対処をしても利用者がコンテンツを保存したら利用者に罪がある」ということになった。これについて例を出そう。

 MP3ファイルなど音楽コンテンツについては、海賊版コンテンツを公開ができなくなった。そこで百度MP3捜索のコンテンツを擁する百度は、海賊版コンテンツがある場合、コンテンツホルダーから削除要請があれば問題のファイルへのリンクを削除するとしている。またMP3ファイルへのリンクを右クリックで保存しようとすると警告画面が出る。これにより百度の責任は回避され、それでも保存を実行した場合、利用者側に違法行為の責任が科されることになる。

 映像コンテンツも同様で、VODのコンテンツのほとんどで、一般的に提供されているプレイヤーのプラグインなどを使うため、意図的に保存しようと特別なソフトウェアでも使わない限りコンテンツは保存できない。そのため、利用者が意図的に保存すれば、保存した利用者が違法行為をしたことになる。

 多くの中国メディアはこの条例施行のニュースを紹介している。またその一方であるサイトが他のサイトの条例施行のニュースをそのままコピーして掲載するという矛盾も発生しており、まだ多くの人々に条例の概念を浸透させるには時間がかかりそうだ。また個人のブログにもこの条例が適用されるため、ニュース全文をコピーして、自身のブログにペーストすれば違法となり、多くのブロガーから不満の記事が書き込まれた。

 いずれにしろ、この条例を全てのネット利用者がきちんと遵守すれば、中国の著作権絡みのインターネットモラルは大きく向上するだろう。興味ある方は中国政府のページ(中国語)へ。

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