「今売りたい」相手にどうリーチするか--ヤフー、楽天、BASE、iQONが議論

山田井ユウキ2014年12月26日 13時00分

 12月4日に開催されたイベント「CNET Japan Live 2014 Winter」で、「売り手と買い手をつなぐECの未来」と題したパネルディスカッションが実施され、ヤフーの友澤大輔氏、楽天の河野奈保氏、BASEの進浩人氏、VASILYの横山隆氏が登壇した。

 現在、オンラインショッピングやネットオークションといった売り手と買い手を結ぶECのプラットフォームは無数に存在する。こうしたECプラットフォームは自社の魅力をどのようにアピールしているのか。また、ECの未来はどうなると考えているのだろうか。


パネルディスカッション「売り手と買い手をつなぐECの未来」

個性のある4つのECプラットフォーム

 パネルディスカッションではまず、各社が提供するECプラットフォームがどのようなビジネスモデルを掲げて展開しているのか、それぞれの特徴とともに語られた。

 楽天市場は開設から約17年間、日本のEC市場を牽引してきた会員制プラットフォームだ。EC以外にもトラベル、電子マネー、クレジットカード、銀行、通信事業など、取り扱うサービスは多岐にわたる。楽天 執行役員 メディアプランニング統括 楽天市場事業 編成部 部長を務める河野氏は、こうした楽天市場全体を「楽天経済圏と呼んでいる」と説明する。

  • 楽天の河野奈保氏

  • 楽天経済圏

  • 「バザール」をイメージ

 楽天自身が描く楽天市場のイメージは「バザール」だ。バザールとは商店などが並ぶ通りのことで、似た商品でも店舗が違うと価格が変わる。楽天市場は開設当初から一貫してこの「バザール」をコンセプトに掲げており、現在は約4万ショップが集まっているという。

 また、最近では新たなサービスとして、楽天市場の商品を自分専用ページに収集し、紹介できるキュレーションサービス「ROOM」や、フリーマーケットのように自由に商品を売買できるCtoC向けアプリ「ラクマ」なども提供するなど、サービスの幅をさらに広げている。

 BASEはECサイトそのものではなく、ECサイトをつくるためのプラットフォームだ。「お母さんも使える無料ネットショップ開設サービス」をキャッチコピーに、ネットリテラシーが低くても簡単にネットショップがつくれることを売りにしている。BASE 取締役COOの進浩人氏によると、現在BASE上のショップ数は12万店舗まで増加しており、月間PVは1100万、アプリのDL数は11万に上るという。

  • BASEの進浩人氏

  • ショップ数は12万店舗まで拡大

 iQONは「着たいコーデが“見つかる/買える/貯められる”」ことが特徴のファッションSNSアプリ。さまざまなECサイトのファッションアイテムをユーザーが自由に組み合わせてコーディネートを作成できるサービスだ。

 他のユーザーが投稿した100万件以上のコーディネートから、お気に入りの商品を見つけて購入したり、SNSでシェアしたりして楽しめる。いわば、ファッション誌を見ながら、気に入ったものがすぐにその場で買えるような感覚というわけだ。2012年3月のリリース以降、会員は右肩上がりで増加しており、現在は約200万人に達している。最近では講談社との資本業務提携が話題となった。

 VASILY セールスアライアンス ECコンサルタント 横山 隆氏によると、日本のファッションブランドはほぼすべて網羅しており、最近ではGUCCIなどのハイブランドも参画しているという。

  • VASILYの横山隆氏

  • ファッションSNSアプリ「iQON」

  • 200万ユーザーを超える

 Yahoo!ショッピングなどのECサービスを展開するヤフーだが、同社のマーケティングイノベーション室 本部長の友澤大輔氏は自身を「メディアからの送客をYahoo!の中の広告主の立場としてやっている」と位置付けており、その視点からヤフーにおけるECサービスの考え方を説明した。

 友澤氏はユーザーに対するアプローチを「場」「表現」「像」「タイミング」の4つの視点で捉えていると語る。すなわち、「ユーザーがよく行く場で、ユーザーが受け入れてくれる表現を用いて、ユーザー視点のセグメンテーション(像)を作り、ユーザー起点のタイミングでコミュニケーションすること」が重要なのだという。

 では、いかにしてユーザーを広げていくのか。友澤氏は、「買いたいと思っているが、まだ迷っている人など、濃度が薄いユーザー」に対してのアプローチに貢献していくのがYahoo!の役割であると述べた。

  • ヤフーの友澤大輔氏

  • 4つの視点でユーザーにアプローチ

  • いかにしてユーザーを広げていくか

 また、オンラインtoオフラインや、オフラインtoオンラインは話題になるが、意外とやりきれていないのがオンラインtoオンラインであるとも述べ、これをきちんとつなげていくことで広告と買い場、そして消費が連携すると語った。

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