CNET Japan Live 2014 Winter

デジタル時代の広告戦略は組織の垣根を超えたデータ分析がポイント

 「CNET Japan Live 2014 Winter」で、デジタルインテリジェンス代表取締役の横山隆治氏が「マーケティングを進める上で組織の垣根を越えるポイント」と題し、デジタル時代における広告戦略について講演した。

 様々なマーケティングデータが活用できる時代となり、広告マーケティングも従来とは異なる戦略をとることが可能な時代となった。30年以上広告に関わり、デジタル広告黎明期からその活用に取り組んできたデジタルインテリジェンスの代表取締役 横山隆治氏は「データをうまく活用し、反応を見ながら広告内容を変える、迅速な対応が必要な時代となっている」と指摘する。様々なデータをどのようにマーケティング戦略に生かしていくのが正解なのか。そしてその時代にマーケティングチームはどのように変わるべきなのか?


デジタルインテリジェンスの代表取締役 横山隆治氏

広告はリアルタイム対応が必要な時代に

 横山氏は1982年に大学卒業後、広告代理店に就職し、現在に至るまで広告関連のビジネスを手がけてきた。「この15~16年はテクノロジと密接に関わる仕事をしてきた。DMP(Data Management Platform)に関しては、価値あるデータを分析できる環境が整い、いよいよ実戦の時期に来たと感じている」と話す。

 その中で横山氏はデータを分析する際「広告業界とデータサイエンティストとの協力、融合が不可欠になる」と指摘する。ただし、広告業界側がこのデータを使いこなすためには、工夫が必要だという。

 「ビッグデータを活用するためには仮説を立て、どのデータが必要で、捨てるべきかを決める作業が必要になる。残念ながら、現在の広告代理店のすべての人にそのセンスが備わっているとは限らない。

  • マス、デジタル、リアルの「3領域最適化」

 自分が広告代理店に入社した32年前は、酒造メーカーの担当になったら工場に行って製造工程を勉強し、店頭で購入者の声を聞くというフィールドワークが必須と言われていた。ところが、現在の広告代理店では分業化が進み、そうした経験は一切しない。

 そのため『月曜日にビールの売り上げが伸びる』という指摘はできても、それは画面の数字から得た答えなので、何故? という問いかけには答えられない。数字だけの分析は十分ではなく、数字の背景が頭に入っていない状態では良い分析結果を出せるわけはない」。こうした現状を踏まえ、横山氏は「マス、デジタル、リアルの3領域を再定義し、最適化したマーケティング戦略を考え直すべき」と提言する。

 例えば化粧品メーカーがポイントカードの登録者向けにメールを送る。そのメールに、想定ターゲットとは全く異なる層から反応が返ってくる場合がある。

 「広告の際のターゲットは、『想定』はしているものの、『実証』はしていない。事前のプランニングは当然必要だが、今は実証ができる。実証をもとにリアルタイムに状況を把握し、反応を見ながら広告を変えていく必要がある。

 日本では依然として大型キャンペーンを実施して、2週間後に評価を出し、次年度の広告を出す材料にするというやり方が一般的だ。しかし欧米では、簡単なバナー広告で調査をしながら、リアルタイムに手を打っている。これはダッシュボードと呼ばれる、反応に応じて分析する仕組みを使っており、私のイメージは、ダッシュボードは飛行機のコックピットだ。レーダーを見て操縦をする。広告も、反応を見ながら、それに合ったボールを返す、そういう方向に広告プランニングは変化していくべき。。こうなると広告予算プランも大きく変わることになる。そのときに『最初に予算を使いすぎて、変更のための予算がありません』では意味がない」と横山氏は話す。

 米国ではゴルフゲームにバグがあり、それに気づいたユーザーが、YouTubeに動画をアップロードするということがあった。しかしゲームメーカーはその反応を逆に活用し、タイガー・ウッズ氏が登場した「これはバグじゃない!」と説明するCMを作成。それが話題になってそのゴルフゲームがより盛り上がった事例があるという。

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