ジョブズ氏からクック氏へ、CEO交代から1年--アップルで何が変わったか? - (page 2)

Zack Whittaker (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎2012年09月10日 07時45分

 次の新しいヒットを見つける。これについては、ほぼ間違いなくあらかじめ定まっていた。Appleそのものを定義するものである同社の製品ロードマップは、論理的に続いている。iPhone 4SにはiPhone 5が続く。「Mac OS 10.7 Lion」には「OS X Mountain Lion」が続く。「iPad 2」には、例の「新しいiPad」が続く。これについては、次世代Apple体制下でのCook氏による新しい製品命名方法だと言う人もいるかもしれない。製品ロードマップは、それ自体の持つ流れで先に進んでいく。

 しかし、Appleが7インチ版のiPadに取り組んでいるといううわさは常にわき上がっている。いわゆる「iPad mini」だ。7インチ版のタブレットを市場に投入すると言い始めたのはAppleではなく、市場の方だ。Jobs氏が「死産に終わるだろう(Dead on Arrival)」とコメントしたにも関わらず、GoogleやAmazon、サムスンなどの主要なプレーヤーからは、Appleに対して「参入するか、出て行くか」というシナリオが押しつけられている。ただし、Jobs氏も最後にはそのアイデアを温めていたのだが。

 新しい市場の開拓。Jobs時代には、中国でのAppleの存在はほとんど無いに等しかった。Jobs氏は中国に行くのを意図的に避け、代わりにCook氏を送った。しかしCook氏は再び中国を訪れ(今度はCEOとして初めての訪問だ)、Proviewとの知的所有権関係のトラブルを前に進め、Foxconnの問題を解決し、中国の要人と親交を深めた。

 The New York Timesによる(Appleの主要な製造委託先である)Foxconnの過酷な労働環境を暴く記事が発表されると、Cook氏は同社の秘密主義を破り、透明性の扉を開いた。Appleは人権団体をFoxconnに招き、また同社と関係がある中国のすべての独立契約会社を監査したのだ。Cook氏は、「古いApple」で通常重視されていなかった地域での新たな市場を開拓し、新しい機会を作っただけではない。同氏は中国を他の市場のテストケースだと捉えた。スタート地点としては、悪くないと言える。

 最先端の維持。Cook氏は製品ラインを維持することに力を注いでいるが、Appleのイメージを変える取り組みも行っている。投資家への配当や慈善事業への寄付といった取り組みは、Appleを他の企業と同様の会社にした。

 しかし、知的財産競争の面でも、Appleはサムスンとの裁判で大きな勝利を得た。Jobs氏はGoogleが所有するAndroidとの「最終戦争」を宣言したが、Cook氏は部隊を率いて敵のOSの兵舎にあたるサムスンを攻め込んだ。

 これは、Cook氏の業績となるだろう。少なくとも、もっと大きな業績ができるまでは。AppleはMacでコンピュータを、iPhoneでスマートフォンを再発明したが(これらはすべてJobs氏が行ったことだ)、Cook氏の特許闘争は、ライバル企業を製図板の前に引き戻し、モバイルデバイスのコンセプトそのものから再発明することを強いるかもしれない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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